戦況はキケン! 「トトさーん。本貸してよー」 「……またか。貴様、ここは私の部屋だと何度も言っているだろう」 あと少し、このまま引き付けておいて、ホントにキスでもするんじゃないかというほどの距離になったら、手にした本でガードして、トト様が一瞬驚いたスキに距離を取る 「もーっ、トト様ってばたーんじゅんっ」 こんなおれをみたら、結衣ちゃんとか満田姉は勇者か。なんて言い出しそうだ トトさんだって、なんだか機嫌が悪化したのが目に見てわかる 「あははっ、そんなに怒んないでよー、それにここ図書室だよ?いくらトト様の部屋でも学校じゃん」 自分の目当ての本を探しながら、トトさんと距離を取る 好きだと伝えない代わりに、教えてほしい どれだけおれに夢中になっているのか そのおれと同じくらい天邪鬼な口で、もっとおれを翻弄してみせてよ それぐらいトト様なんだから楽勝でしょ? 「こんぐらいで不機嫌になっちゃうくらいにおれが好きー?」 「何を言う。そんなわけなかろう。貴様は私にとっていい実験台なのだからな」 逃がすかと言わんばかりに荒くて熱い口づけをされる 実験台なんて酷いこと言ってくれちゃってさ。 実験台にこんなキスする人もいないんじゃない? おれはずっと逃げ続けるから、もっと追いかけて来てよ 「……どう?満足です?」 (おれよりも先にアンタに"好き"って言わせてやる) (とか思ってみるけど、おれたちにはそんな甘い言葉よりもキケンな関係の方がお似合いじゃない?) ×
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