本性で触れる



「……なぁ、そうだろ?」

「……ルア?」


トスッと俺はトールさんを押し倒していた
別にこれから取って食おうという魂胆ではない
むしろ俺は取って食われる側になってしまったこの人限定で。
そういえば、クセで今までも付き合ってからも俺はずっと外面のハイテンションのままこの人に接していた


「こんな、こんな俺は、嫌いか?アンタは」

「……」


いつものお調子者じゃない、冷静な俺


「トールさん、アレだけが俺じゃねぇんだよ」

「……そうか」


つうっと俺の頬をなで落ちる冷たい水滴はそのままトールさんの頬を濡らした
トールさんの驚いた表情が視界に映る

後悔だけに、囚われたまま、あの時のまま止まってしまった俺の時計を動かしたのはアンタだから


「……トールさん、俺のことなんか嫌いだっつってよ」

「……」

「なんで、俺の時間を動かすんだよ……!」


楽しい時に溺れていたいのに。大人は酷く残酷だというのに
この人といたら、俺は嫌でも大人になって行っているような気がするから


「……それは、できない。……苦しいんだろう、すまない。気づいてやれなかったな」


(ネバーランドなんてただのおとぎ話だと本当は知っている)





×