走り込み





早朝、グラウンドで走りこみをしている奴がいるのを俺は知っている
いつもそうだ、俺の弟分みたいな奴。戸塚尊、日本神話のスサノオだ


「おーい、尊!今日も走ってんのかー」

「冷慈さん!冷慈さんも一緒に走ろうぜ!!」

「え"」


楽しそうにそう言って来る弟分の誘いも断われず、短距離方のけして持久力は無いだろう体力を隠して、走り込みに付き合うことを決めた



「お、おう。いいぜー」

「よっしゃ!」



あくまで、コイツの前ではかっこいいままの俺でいたいっていう謎のプライドが少し残っていて体力バカと同じペースでひたすらに走る
正直、グラウンドを5周したあたりで、口から血の味が半端なくしてきているが、そうは言ってられない

そうだ、そうは逝ってられない
逝ってられない

大事なことなので、繰り返し言います



「っ…くっ、はっ…はぁっ…」

「…冷慈さん、大丈夫かよ?」

「っはぁ…っ、だ、っいじょう、ぶ、だっつーの…っ」

「え!!冷慈さん!?ちょ、あにぃ!!草薙ー!!冷慈さんがぁあああ!!」


(やっぱり短距離派な俺には無理だった)






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