人をだめにしている




「「…………」」


いつも近くにいても、離すことは特にない。
それは決して俺にとって嫌なものではなかった。むしろ冷慈が珍しがるくらいには、俺は月人さんを受け入れているようで

まぁ、受け入れているとはいってもこう……完全に同化というか、慣れ親しむような間柄ではないのだ
何故なら、君は神で、俺は……どちらでもない。
人間でも、神でもない。ただの日白義宋壬でしかないのだから


「……」


ポケットからスマホと呼ばれる人類の進化の象徴を取り出して、描いていた絵を写真に収める


「それは、なんですか?」

「えっと……文明の、機器……?とかいうものです。連絡をとるためにもってます。ここでは使えないですけど」

「……では、今の音はなんでしょう?」」

「あぁ、写真を撮ったんです」


描いていた絵を月人さんに見せる。ただのデッサンにしかすぎない。それもまだ上手いともいえないような
冷慈や双子いわく、「宋壬が下手なら俺はなんなんだ」らしいけど、俺的にはなんとも思わない
手の赴くままに描いた。ただそれだけの思い入れもない絵

それを写真に収めるのは、"気付きたい"から


「これは……綺麗ですね。驚きました」

「……そう、ですか」



(綺麗なのは懸命に生きている貴方だと俺は思うのに)









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