Prologue

それはまだ俺が、"フォルセティ"と名乗ることを許されていたずっと、ずっと昔の話。
俺は、日本神話の雷神とひょんなことから知り合いになり、それなりに仲もよくなっていた


「神様に頼らないで、自分達でなんとかしようとしなさい!神様は本当に行き詰った人にしか、手は差し伸べないのよ!!」


「……。んだ、アレ」

「あぁ……人間の女の子だね……。大変そうだよねぇ、人間って」

「そうだな。それにしても……、気の強い女だな」

「顔は、まぁそこそこ美人ってところなんじゃない?」



神に頼らずして、世界を救った勇者。女性に勇者という表現は間違っている気がするけれど、勇者だと思ったんだ

眩しかった。いつも彼女は強くて弱みも見せない、所謂、完璧な女性だった


俺は、そんな彼女を、初めて、手にかけたあの日を忘れない。


「……っ、フォル、セ、ティ……にんげ、ん……って、ね……生まれ、変われる、のよ……。また、来世、で……あえる、と、いい、わね……っ?」


その言葉通り、彼女は、また現れた。俺の目の前に。
時代はずっと進んでいて、人間で言うところの西暦1920年代。彼女は、若いながらにして、とある神が"人間"として創った"マフィア"の一員となっていた

その、神へ懇願し、俺は、"人間"の振りをし、また彼女へと近づいた
何故か、あの日本神話の雷神も一緒に。


そしてまた、彼女を信じることができずに、俺は、"人間"として、殺したんだ



死に際、彼女は、また、あの言葉を囁いた。
今度は、"人間"としての俺の名で。


「……っ、グルー、ガ、ン……にんげ、ん……って、ね……生まれ、変われる、のよ……。また、来世、で……あえる、と、いい、わね……っ?」


(もう、いいんだ。俺はこの手で、もう君を殺したくないから)

(だから、君が生まれ変わらないように、君の魂は俺が持っておきたいんだ)

(いつか、いつか、君を思い出に出来ると誓えるその日が来るまで)

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