異空間共通。

「よくぞ来たな。哀れな、人間よ」

「!!」


驚いた。ドアを開ければよくわからんにしても、豪華な部屋に豪華な服を着たおっさんがいた。
明らかに麗菜の好きそうなおっさんである。
そのおっさんを囲うかのように、絵でしか見たことが無い、青い色をした龍がクルクルと動いている。
そして、何故、俺は哀れまれているのか。


「いや、えっと、ここ、なんです、かね?」

「……ほう。やはり、顔は父親に似たか」

「はぃ?」


マジマジと顔を見られ、どうすればいいのか、と混乱する。
まぁ、いい。とそのおっさんは反応に困った俺をおいて、ぶっとんだ次元の話をしだす。


「ここは、ワシ、ギリシャ神話最高神であるゼウスが創造した神々の学園だ。お前をここまで案内してきたのは北欧神話、雷の神トールだ」

「!?」

「お前をワシがここへ呼び寄せた理由は二つ」

「ちょ、ちょいちょい!待て!」


思わず敬語も忘れ話を止めた。待て、今、なんと言った?
ギリシャ神話?北欧神話?ゼウスにトール?神?聞いた単語が全部ミキサーに混ざったように俺の脳内でグチャグチャになった

じゃあ、さっきのトールさんって……


「神様ぁあああ!?」

「やっと理解したか。そうだ。お前の出くわした3人は北欧の神々だ。この箱庭には、北欧神話のバルドル、ロキ、トール。ギリシャ神話のハデス、アポロン。日本神話のスサノオ、ツクヨミ、風神、天津甕星、天津麻羅、歳徳神。そしてすでに中国神話の百虎、玄武、朱雀がきておる。お前は、中国神話、青龍……東西南北の東と四季においての春を司る神へとなってもらう」

「え……」


ち ょ っ と 理 解 不 能
俺が、神様?いやいやいやいや、どう考えてもこれは夢だ。俺ってば現実逃避もいいところだ。
これはきっと夢で起きたらいつも通り、朝がきてなんとなく女の子ひっかけて、慰めてもらって、またヤンキーアイドルと遊んで、そんな日常、のはずだ、と脳が判断を下す。
そうだ、そうに違いない。
そうでなければ、おかしいのだ


「……お前、信じておらんようだな」

「いやいやいやいや!?信じろってのが無理な話で……!」

「ならば、いいものを見せよう……ハッ」

「!?!?」


どでかい、杖みたいなのをコンッとすればおっさんが途端にチビへと変わった。
信じられないだろ?俺も信じられなぁーい。
大変だ、おっさんからチビへと若返りすぎだ。


「ま、まじですか……ルアくんは驚きで死にそうです」

「今が貴様の死に時ではない。……哀れだ。彼奴らの息子ながらにして、報われぬとはな」

「いや、だから、何が……」


話が読めなかった。ゼウスらしいおっさんは、俺の何を知っているというのだろう。
あの口ぶりでは確実に俺の両親を知っているようだが、あいにく俺の両親は人間である。
決して妖精さんではないのだ


「今、知る必要はない。……名は、なんという」

「……俺は早田ルアだけど……」

「……。愛されておるな。両親は、好きか?」


いったいなんでそんな質問をされているのやら。さっぱりだが、俺は、本心を口にするのだ


(さぁ、どうだろう。XXXXは好きだけれど、XXXXは可哀想だと俺は思っている)

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