手術前の大惨事

「参ったなぁ」


次の日、朝から俺は困惑していた。

もちろん看護士さんたちにはもう伝えたものの、悲しそうな顔をされてしまった


(ほらな、思った通りだなこりゃ)


そんでもって、どうやら昨日了承を得ていたんだろう。
まだ、打たれてはないものの、どうやら抗がん剤が目についたから、つまりそういうこと。


「すいません、つか男の人、いて助かりました」

「いいえ、大丈夫ですよ。ルアくんは、進行が異常に早いみたいで、先生もずっと気にかけてましたからね」

「……そう、だったんですね」


まぁ、そんなこったろうと、思ってはいた。
看護士さんに支えられながら、感覚の消えた足で、多分、歩いて便所に行く

今、自分が立ってるかも、わからない


どうやら脊髄に回って来てたらしい

くそやろうめどこにも行けねぇじゃんかよ


「あーー俺、歩いてました??」

「ギリギリ、ってところですかね」

「……明日には完全に歩けなくなりそうっすね〜」

「あはは、それは、まだわかりませんよ」



まぁ、確かにどう転ぶか、わからないのは事実だけれど。


「おい、お前大丈夫か」

「お、柊さんとトールさん!うーん?……足の感覚がねぇだけだな!」

「……それは……大丈夫なのか」


情けないと思いながら、隠すように振り切って、ニコニコと笑う。


「へへっ大丈夫大丈夫!どうにかなるってもんよ!」


信じてるぜ俺の体。


「……そう、か」

「おうよ!それにしてもさーなんかなーんにもすることねぇからすっげぇ暇なんだけど俺!」


ただの病室。テレビはあるけど、生憎そういう気分では、ない。
もちろん、生き延びる、つもりでは、いる。
それと同時に万が一の覚悟もいるわけで。


(まぁ、いいんだけど……な)


気になるのは俺のことではなく、周りのことで。
あーあ罪な奴だぜ、と思いながらニッっとしておく


「……何は、ともかく……元気そうで……安心した」

「おうよ!負けねぇぜ俺は!!」



「ルアくーん、そろそろ行きますよー」

「あ、ほーい。んじゃちょっくら俺「メス」「はい」っていうドラマの世界に行って来るぜ」

「……手術だろうが、たかが検査で、お前は……」

「柊さんこえーこえー」


看護士さんに連れられて、手術室のところまでいく
当然の全身麻酔が待っていて、案外効きやすいらしい俺の体は素直に深い深い睡魔に落とされた


(goodluck、俺)

[ 45/46 ]

[*prev] [next#]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -