「ついてくんな」

「はっはーお騒がせしました」

「ほんとだよ朝からテンションあげてんじゃねぇよ」

「迷惑極まりない」

「……お返しはケーキ20個でいいよ」

「言いたい放題だな、おい」


なんだか麗菜や美月、小柚希がえらくひどいがまぁ気にしない。
いつものこった。
そんなこんなで俺は現在、校舎の前にいる。みんなが見送りとやらにきてくれている


「先に卒業みてーだな」

「ヘラヘラして言うんじゃねぇ枷外れてねぇぞガキんちょ」

「柊さんまで!!」


確かに枷は外れてはいないけど。
あ、そうだ。愛を学べ、と
学んだつもりなんだけどな。何か足りてないのか。



「……ルア……」

「トールさん、今日いっつもよりボケッっとしてんな!」

「それは違うよ、おルア〜。トールちんはいっつもこんなんジャン〜」

「ロッキーダメだなぁ〜今日のトールさんは元気ないぜ〜」


ポスッとトールさんの肩に手を置いてそう笑えば、ロッキーがちょっと無理をして笑った


「……それは仕方ないデショ。トールにとってアンタは特別なんだからサ」

「……だーいじょうぶだって、戻ってくっから。約束するって」


全力で口角をあげれば、皆が不思議そうな顔をした



「……こわく、ないのか」

「怖い?何が?」

「……柊に聞いた。……もしかすると……命に関わるかもしれない、と」


神様勢の全員の疑問を代表するかのようにトールさんが口を開く
あぁ、なんだそういうことか。


「死にに行くようなもんかもしんねぇけど、俺は死なない。俺は、ハゲようが味覚が狂おうが骨と皮になろうが、戻ってくる」


心配するなよ。大丈夫。俺なら。
だって俺は、俺だから。


「……」


「どう転がっても、俺は後悔しない人生をみんなのおかげで歩いてきた、だから、また、会おうぜ」



死んでも後悔しない人生をもう充分ここで味わった。
充分だ。

もし、息途絶えることになっても。

一度目を閉じて全部思い出して、ゆっくりと目を開く

全員の息を飲む声が聞こえた



「……、俺は簡単には死んでやんねぇ」


また、気づいたら神化をしていたようで、タイミングよく吹いてきた風に目の前が桜色に染まる
珍しくド真剣につぶやいてしまったからビビらせてしまったんだろうか。
しかし今俺は表情を崩していいのか。

迷いに迷ってそのまま固まっておく


「……。ロキ……」

「……トール、言いたいことは分かってる」

「……あぁ」


なんだ、なんだよぉおお俺いつまで空白を真面目な顔で見てればいいんだよ


「……柊、頼みがある」

「……まぁ、聞いてやらんでもないぞ。おっさんは優しいからな」


どこがだ柊のおっさん


「ぜってー嘘だ。いいか尊、信用すんなよあーいうおっさん」

「言われなくてもしてねぇ」

「よし」


冷慈と戸塚のターたんに激しく同意します。
もう表情が限界なのでヘラヘラしようかと少し気を抜こうとしたときだった
トールさんが、そんなことを言うから、何かがキレた。

「……俺も、連れて行ってほしい」

「言うだろうと思ってたが、まさか本当に言うとはな」



「…………、くるな」


腹のそこから這い出るようなドス黒い声が俺の口から出る。


「……っ」

「テメェの前で、あんな姿見せるわけにいかねぇんだよ」


俺は知っている。見守る側の、尋常ではないほどの辛さも痛みも知っている。
母さんのとき、どれだけ俺が毎日毎日、必死で笑って見守っていたか。

だめだ、アンタに俺と、俺と同じ思いはさせれない


「ついてくるな、見ないほうがイイコトもあんだからな」


腹のそこから出たその声は俺自身ですら、自分の声なのかと疑いたくなるほどの低音でドスが効いていた


「……いや、俺は……」

「来るなっつってんだろ!?戻ってくるから、黙って待っててくれよ!!」


もはや悲痛の叫びのように喚き散らす。
まるでどこかの小学生が癇癪を起こしたかのように。


だめだ、落ち着け。落ち着け。


「……、これ以上俺みたいな思いをする奴はいらない」

「……」


柊さんが背後で何かを考え込んでいるのが目に映る。
あぁ嫌だ。すげー嫌な予感しかしねぇんだ
俺が、この人に逆らえないことを知っていての、行為


「……待て。連れて行ってやる。第一にルアは枷も外れてねぇしな。文句は、ねぇな、若造

「……、すいません」


こんな時ばっかり、ヤンキーの先輩に戻ってくれるなよ。
上下関係の世界に戻ってくれるなよ。


「ここまで言ったんだ。トールを連れていくのに、文句はねぇな?」


(ふざけんなよ。まじで)


→ 諦めて頷く

→ 反論しておいていく

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