3日目

最後の朝。
最後ってわけじゃないかもしれないけど、俺の予想通りになってしまうならきっとここが最後。


使えてない携帯から音楽を流しながら外の白銀に染まった世界を眺める。


「……なーぜだろう、まるでオレ一人好きみたーい……」


流れてくる音楽を口ずさみながら、ぼうっとしておく


「なんてね、信じてるアイヤイヤーイ……」

「プリィイイイズ!ラヴミーモアアンドモアーー!」

「!?」

「はっはー!センチメタルなジャーニールアのために俺が来てやったのだぜ!感謝しろ!」

「麗菜、俺は別にジャーニーじゃねぇ!」

「16だからな!」

「違うから!」


ドヤッと出てきた麗菜の後ろからいつもと同じようにトールさんが出てきた。
あぁ、そうだ、最後に見たいこと、言わなきゃ。


「……おはよう」

「あ、お、おはよう。あのさ、トールさん」

「……どうした?」

(俺はお邪魔かね、帰るかな。あーやだやだ損な役回りだぜ、家族であって幼馴染は)


麗菜がめんどくさそうに保健室から出て行く
どうやらあれなりに気を使ってくれたらしい。
変なところであぁやって空気を読んで無理をする癖はよろしくないだろう


「俺さ、ちょっとお願いがあんだよな」

「……俺に……できることなら」



「見たいんだ。アンタの神様の姿



死ぬ前に一度だけ。きっと、俺は母さんと同じ道をいく。
だから、その前に、離れてしまう前にどうしても見たかった


「……参ったな……枷が外れていない」

「……そか。そら仕方ねぇ、か」


そういえば、枷がついているんだった。スッカリ忘れていた。
何しろ馬鹿な俺は説明をちゃんと聞いていなかった気がする。聞いたところで理解できるだけの脳みそが俺に備わっているかと聞かれるとそれは頷けないんだが。


「……すまない」


リーゼントにできてない状態の髪を撫でられて、その心地よさに安心する
その手がスルスルと耳から頬まで降りてくる


「……っ」


くすぐったいそれに思わず息を飲めば、バチッと目があう
あ、いやこれは、ん?
そういうフラグか?待て待て、待て


「……ちょ、あ、あの」

「……どうした?」

「距離が、ちか、いと、言いますか」

「……」


俺の言葉を聴いているのかどうなのか、スルスルと降りてきた手が首筋を這いながら顔と顔の距離がものすごく近い
顎出したらアウトです。


「ト、トールさっ」

「……」


ゆっくり重なったところからあまりの事態に思わずジリッと後ろへ逃げようとすれば追ってこられ完全に思考が停止した


「ちょ、ちょ……!」


トールさんの唇がゆっくり下がって首筋に当てられて思わず焦る
いやさっきから困惑と焦りがだな。


「や、トール、さぁ……っ」




「……ルア?」

「!?……あ、あははは!!何!?今俺寝言言った!?」

「……、名前を呼ばれたんだが」

「あはは!!」


どうやら夢落ちのようでした。なんだ、俺は欲求不満か!
確かに最近は(自主規制)(自主規制)けども!!


「……大丈夫か?」

「!!」


夢のように頭を撫でられ思わず硬直した
トールさんは不思議そうにしているけど。


「気にスンナ!ナンデモナイノデス!」

「……そ、そうか」


(アンタの神様の姿が見たいけど、枷がついてるんじゃ、ダメだな。

今日は予定変更で、こうやってくだらない話してアンタを記憶に刻み付ける)

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