同じ顔が並んだ!

ッギャアアア!と悲鳴をあげ俺は後ずさった。
何故だ、何故父さんがここにいる。ゼウスのおっさんならまだわかる。まだわかるぞ。
父さん、何故だ。


「か、薫さん!」

「やぁ麗菜達も元気そうだね」

「え、え!?」

「あ……えっと、なんで、いるんですか?」


こゆが冷静に首を傾げながら俺の最大の疑問を父さんにぶつけた。
父さんはニコリと笑ってから、まぁまぁネタばらしは後のお楽しみだよと俺たちを学園長室に来るように笑顔で告げて来た。

その笑顔が俺は恐いです。




「んで、なんでいんだよ!!」

「……落ち着け早田ルア」

「いやいや……」


学園長室についてすぐ、問い詰めればゼウスのおっさんは呆れたように父さんに何かを翳した。
それは見覚えの無い、緑色の硝子瓶。


「お前のものだろう」

「……もう使えないけどね。……さぁ、よく聞いてね。俺の馬鹿息子のクラスメイトさん。俺は、日本神話少彦名大神。医薬の神だったんだよ」

「な、ん、だ、と!?」

「「!!」」


あぁ、そんな。俺の父親はどうやら神様だった、らしい。
ん?だった?
おまけにあの硝子瓶を"もう使えない"と言っていた

だめだ、混乱してきた。


「……なんかもう衝撃告白にも慣れてきた……」

「流石冷慈さん!動じないところもかっけぇな!」

「……いや、うん。どうもな」


どうやらそれに驚いているのは神様連中と俺と草薙ちゃんだけのようだった。
俺のお仲間連中は「あーやっぱりかよー」みたいなリアクションばかりだ。
なんだお前らのその順応能力は。


「え、でも、貴方は医薬の神なんだよね?それじゃあ、もしかしたら彼の病気も治せるんじゃない?」

「そ、そうだよォ!息子なら尚更ジャン!」

「だから、俺は言ったはずだよ?医薬の神、だったんだよ、って」


それはつまり……今は、そうじゃない。ということだろうか。
馬鹿な俺にはそれぐらいしかわからない。


「……っ!今は!なら!!なんで!!あの時!母さんを殺した!?」

「……」

「父さん!!俺は止めただろ!?なぁ!!」


ガッと父さんの胸倉をつかんでそう叫べば、父さんは何も言わなかった。
こういうときは、いつも何も言わないこの人は、ずるい。

どうして、そんな偉い人だったなら、どうして、末期がんになってしまった母さんに

モルヒネ

なんか打ったり、延命治療もやめたりした?


「騒がしいなぁ、相変わらずのピーターパンはよぉ」

「ユウジ、さん……」

「ピーターボーイ、それが、お前の父ちゃんの選んだ、最大の愛ってわけだな」


(最大の、愛が、モルヒネを打ったり延命治療をやめたり、生きたがっていた母さんを、殺すこと?なんだ、それ頭、おかしい)

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