一時の英雄の帰還さ
「あー、やっぱここがいいよなー!」
箱庭に戻った俺は即座にその綺麗な自然やらの出したであろうおいしい酸素を吸い込んだ
きっと、箱庭のおいしい酸素って名前で酸素ボンベ出したら売れる気がする。
んふふ〜っとスキップをしながら、目的地教室を目指して、あんな病名を申告されたがご機嫌で進んでいく。
制服はダメにしたので(血で)私服だがこれはもう仕方が無いだろう。
他のクラスが大人しく授業をしているということは今はどうやら授業中のようですが、俺はヤンキーです。
優しいヤンキーですので、授業の途中から現れても無問題でしょう。
「よーっす!」
ガラッと勢いよくドアをあければ、教壇にいるトトせんせーとやらが苦虫を噛み潰した顔で俺を見てきた。
あっちゃー、あっちゃー!やべぇなこれは、と思いながらヘラヘラしておく
「……貴様、雷神に連れられていたのではないのか」
「終わりやした!」
「……そうか。早急に席につけ禁忌め。邪魔だデカイ図体でそんな所に立つな」
「へーい」
全員の驚いた顔を見ながら俺はそのまま席についておいた。
授業が終わったら病名発表会かね。と思いながら。多分満田姉弟に殴られる気がする。確実に。
いつもなら寝るかふざける授業も、今日はニコニコとただ聞いているだけで大人しくしておく。
あぁ生きてるってすばらしい。
トトせんせーが気味悪そうに俺を睨んでいるのはまぁ気にしない。
美月がそんなトトせんせーに笑いを堪えてるのはちょっと面白い。
日白義姉弟は寝てるし、満田姉弟は俺睨んでるし、ロッキーとおバルはなんか心配そうにしてくれちゃってるし、トールさんは……
やたらとこっち視てくるし。
(穴が、ほげる。見すぎだ……)
「ルアルア!大丈夫だったかい?大丈夫だった?」
「重複ボーーーイ!!」
「ルアルアーー!!」
授業が終わってすぐ、友情を確かめるようなムサ苦しいハグをしたらとりあえず、俺は重複ボーイから離れ教壇に立った
え?背で黒板が見えません?知りません。
「えーっと、俺、悪性肺がんでしたー」
てへぺろっと言わんばかりにそう言ってやった。
そう、それはまるで「今日の夕飯?カレーよ?」と言うようなそんなとんでもなく軽いノリで。
「はぁ!?」
「ルアさん!?」
「おや、美月くんに草薙くん、何かな?」
「「そんな軽く言うことじゃないです(だろ)!!」」
「ははー」
どうやらお説教をくらってしまったようだ。後悔も反省もしてませんが。どうも、軽い男(精神的に)ルアです
「……ルア、歯ァ食いしばれお前!!」
「わー、麗菜ちゃん落ち着いて……!」
「ディディ離せ!俺は!あの!くそ馬鹿ヤンキーをぶん殴る!!」
「いやいや!?殴る前にその"ハイガン"って何なの!?」
あ、そうだ。さっきから神様連中がキョトンとしてたからすっげー違和感感じてたけど、知らなくて当然なんだったわ。
しかし、がんってどうやって説明をすればいいんだろうか……
「……えーっとな、俺の肺に、言うなら……なんか悪い物質?みたいなもんが住み着いちゃってなー、そいつが今ココにも増殖しやがってー」
「わ、悪い物質!?悪いやつなのかい!?」
「お、おー……まぁ、そうな」
俺が全部を話し終わる前になんだか一気に空気が重くなった気がした。
参った。これは参ったぞ。
「……あ、いや、その物質を潰す薬さえ入れればなんとか、なるはずなんだよ!多分!まぁ、重く考えるな!」
「……命に、関わる、のか?」
「……いや、今のとこそれは聞かなかったし、大丈夫大丈夫!」
トールさんの質問に明るく返せば全員がほっとした表情をしていた。
まぁ抗がん剤打つ時点でちっとばっかし危ない気もするが、抗がん剤の恐ろしさはもう黙っていようそうしよう。
「よーし!俺は3日後に、ここを切って、その物質を取り出してくる!」
「!?き、斬る!?」
「おーい、たけちゃん、勘違いしてねぇか?首を斬るんじゃねぇぞ俺、死んじゃう」
「え、あ、あぁ!?ちげぇのかよ!」
「あぁ、うん、詳しいことは君の大好き冷慈ちゃんに聞いてくれ」
どうやら切るというと神様は恐ろしいほうしかわからないようだ。まぁ、そりゃそうか。
とりあえずこれ以上言うと奴等の頭がパンクしそうだと判断して、それに俺も説明できねぇし、ということで、お話はここで終了だ。
んじゃ、全員で帰るぞ!と意気込んで、ドアを開けたその瞬間
「……え?」
「へぇ、これがお前の同級生になった神様達?」
(なんで、父さんがいるんですか)
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