「「「そうですか」」」

現在、結果を聞くために、俺は先生とやらいや、医者の前に座っている。
その後ろに父さんと柊さんが立っている。なんか笑いが出そうだけども、我慢せねば。


「……、検査の結果なんですが……」

「先生、まどろっこしいのはいいからちゃちゃっと軽いノリで言っちゃおうぜ?」

「「ルア黙ってろ」」

「……」


とは言っても、もう俺は半分は自覚しているので多分何がきても驚きそうもない。
それは多分後ろの二人も同じ事で。
だからこそ軽いノリでチャッ!と言って貰った方が気分的にも明るいんだけれども。
どうもそうもいかなようで医者は深刻そうに口を開いた


「息子さん……ルアくんは、悪性の肺がんです」

「「「そうですか」」」

「……え?」


ほらきた!俺の予想はどうやらドンピシャで、やっぱり肺がんだったらしい。
なんとなく、そうじゃないかとは、思ってはいたけれど。


「……早田さんの奥さんと同じ病ですが、今のところルアくんは末期、というわけではないようです。ですが……」

「いつ、末期に転がってもおかしくはない。でしょう?」

「……奥さんの時のように冷静ですね」

「……はは、まぁ、色々ありまして」


そう、俺がなんとなく、この病気だとわかっていたのは、母さんと症状が全く同じだったから。
母さんも、最初は末期では、なかった。

日に日に悪化していったことも、知っているし、あの最期はやーっぱり俺には理解はできてないけれども。

病院内で天使の笑顔と言われるほど綺麗で可愛い俺の母さんはどこか抜けていて、優しくて暖かい人。

……決して俺は、マザコンではない。

でも、一人の人間として、母さんを尊敬しているから仕方ない。


「あの時と同じで、まずは3日後、転移してしまっているガン細胞のひとつを取り出して、血液センターでガン細胞の検査をしてもらいます」

「お?俺、転移もしてんスか?」

「そうだね、お母さんと同じ位置にね」

「……リンパ!」

「そう。ただ……いや、これはもしもの話なので、確定してからお話しましょう。なので、急な話になりますが、3日後、最低限の荷物を持って、一時入院をしてもらいます。それから、検査をするための手術をしてガン細胞を取り出して、体調さえよければその次の日に一時退院。結果がわかり次第、どの抗がん剤を使うかを決めて、即入院、という流れになります」

「……あぁ、母さんと一緒か」

「妻のときといい、お世話になります」

「いいえ、お辛いでしょうが……私も全力であのような事態を避けるべくさせていただきますので」


病院を出てから、どうするのかと柊さんに問われた。3日間、この世界で自分の家で過ごすか、それとも、箱庭へ戻るのか。
当然、俺の選択はもう決まっていて、迷うことなく、笑顔で告げた


「上!」

「あー……上な。ハイハイ」

「……柊、じゃあ、後でね」

「おう、薫さん」


柊さんに薫と呼ばれたのは俺の父さんの名前である。
ややこしいが理解を求めたい所存である。

それにしても、後で、とは。
柊さんだけ父さんにでも会う用事でもあるんだろうかなんて深くも考えずに俺は柊さんと箱庭へと戻ることにした。


(いや、まさか、そうなるとは現時点では予想もしていませんでしたぞよ)

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