こちら病院です

「……うっわ、久々」

「あぁ、あの人の時以来か」

「そうそう」


柊さんに連れられて、とりあえず箱庭とやらから元の世界へと戻ってまいりましたルアです。
なにやら俺の両親には柊さんがもう連絡済らしく、まぁ元々満田家とはずーっと知り合いだし、いいかな。と思っていた。


「ルア、おかえり」

「あ、父さん」


茶金髪のリーゼントのおっさんは、今日も多分優しげに突っ立っていた。
かなり久しぶりに見たな。と思いながら俺と同じ身長で同じ顔で同じ頭の父親の元へと駆け寄る。
違うところと言えば目ん玉の色と襟足の長さと髪色ぐらいか。
俺は目ん玉は水色だし、襟足は短いし金髪だし、父さんは赤茶目に長いストレートの襟足に茶金髪。

ルアくんが迷子になったらすぐにわかるわぁと昔近所のばーさんに言われたことを思い出すな。


「……相変わらず、同じ顔が並ぶと気色悪ぃの」

「柊、随分とした物言いだね。さて、と馬鹿息子。話は全部聞いてるよ」

「全部、と、言いますと?」


全部といっていたが、この病気らしき症状のことだろう。ただし満田家はぶっ飛んでるので、もしや神様になります!そのために神様の学校に通ってます!なんてことを言ってはないだろうか、とヒヤヒヤしていた。

そう、そして、俺の勘はドンピシャで当たってしまったのだ。


「中国神話」

「!!な、ななな!?」

「まぁ、その話は俺が今度全部話してあげるよ。馬鹿な息子にね」


まるで、言われなくても知っていた。といわんばかりの態度で父さんは、歩き出した。
ついでに柊さんも。だから俺もなんだなんだと思いながらも慌てて二人の後を追う。

しかし現状、目立って仕方が無い。俺はまぁ今日はリーゼントにはしてないものの、この身長だし、父さんは似たような身長のリーゼントだし、柊さんは182cmとは言えサングラスだしオールバックだし。
なんだ、このヤンキーの集会は。
周りの目が痛いぞ。さすがにこれは馬鹿な俺でもわかる。


「今日、多分山みたいに検査されるからね。あの時と同じだからわかってると思うけど……って聞いてるかな、馬鹿」

「え、あ!?き、聞いてまふ!」


ギリギリと頬を抓られた。どうやらご機嫌ナナメ35度のご様子です
いってぇ、と抓られた頬を擦りながら、ふとトールさんを思い出した。
そういや、検査入院だからって、ついてくるのを柊さんに一刀両断されてたっけ。

どのみち、神様が下に降りてくるなんてしていいのか悪いのか。
……神だから、いいのか?


「早田ルアさーん、どうぞー」

「ほら、さっさ行く」

「あでっ」

「はよ行けこの巨人」


二人に乱雑に蹴たぐられながら、俺はしぶしぶ検査を受けるために診察室にいく。
レントゲンから血液検査やらなんやらと事細かに調べ上げられて、終わった頃には俺はもうグッタリだった。


「うげぇ……」

「おー、ヘバってんな」

「柊さーん……まだ帰れねぇのかよー」

「馬鹿か、まだ結果なんも聞いてねぇだろうが」


待合室に戻された俺は父さんではなく柊さんに愚痴を吐く。
流石です師匠。さりげなく俺の足を踏みにじらないでください恐いです。


「早田ルアさーん、先生がお待ちです」

「お、行くか」

「馬鹿息子、早く行くよ」

「……二人の俺の扱いェ」

「「んな今更な」」


(あーあ、結果なんて聞きたくねぇなー)

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