教えて?神様
「なぁなぁートールさーん」
「……なんだ?」
「もしもさー、余命宣告されたらどうするー?」
部活も終わって今日は北欧の寮に遊びに来ている。リビング的なところのテーブルでグデッとしながら唐突にそんなことを呟いた。
今日は何かと俺の中の何かがナイーブのようである。
「……また、いきなりだな」
「俺なんかねー、今こういうこと聞いておかないといけない気がしたんだわ」
「……そうか。……どうだろうな……それまで、あいつ等を見守るのが俺の役目だとは重ってはいるが」
「最期まで、二人を見届けることかな」
「……そか。やっぱかっけーな」
一瞬重なったその映像はすぐにかき消した。
この人は、違う。俺のXXXXとは
まぁ、その答えがトールさんらしいなぁと思いながらも、俺もボケッとイタズラで騒いでるロッキーと巻き込まれたおバルを眺めておく。
あぁ、楽しそうにしやがって。
「……ルア、お前ならどうする?」
「ん?」
「……余命、だ」
「あぁ、俺?」
同じ質問を返されて、少し迷うフリをした。
実際問題答えなんて、一つしかないけれど、それでも一応は迷っておく。
過去を思い出すようにあの人の言葉を一つ一つ記憶から引っ張り出して、言葉にしていく
「……俺なら、死ぬ直前までずっと皆に不安与えないぐらい笑顔で生きるだけだな!」
「私なら、ずーっと二人に笑っててほしいから笑顔で生きて見せるの!」
きっと、今の俺の表情はあのときのあの人と同じはず。
そうだ、生きないといけない俺は。託されたんだ、生きることを。
人生まるっと青春で謳歌することを。いつでも周りを明るくするぐらい笑顔でいることを。
天使の笑みだと騒がれていたあの人から全部託されたから俺は生きていく。
ナイーブになる必要性0なのに、なにやってたんだろう
「……そうか。凄いな」
「そうでもねぇって!きっと簡単なことだしさ!笑ってるだけで皆が笑うならそれでいーじゃん!笑顔大事!」
「……そうだな」
ヘヘッと笑って話していれば、不意に背後にヒタヒタと不気味な足音が聞えた気がして思わず振り返った。
当然誰もいなかったけど。どうやら空耳らしい。
「……空耳か」
「……?」
「あぁ、いやなんか今誰か後ろにいた気がして。まぁいいや!それよりさ!今日皆で何食うよ?」
「それはもちろんお肉だよね?ね?ロキ、トール?」
「……俺はなんでも構わない」
「そうだねェ、バルドルは野菜も食べなよォ」
「えー、野菜っておいしくないじゃない?」
ロッキーにおバルも呼んで騒いでいれば今日も今日とてやっぱり楽しい一日だと、不意に生きていることに喜びを感じた。
それはきっと俺が、色んなことを思い出しているから。
あの人の死に際も、笑顔も託されたことも全部を。
ここにいる奴等の誰よりも死を知っているから。
(なのに愛の形を知らないんだ。守るだけが愛じゃないなんて俺は認めない)
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