操り人形!

「なぁ!ちょっとやってみてぇことがあんだけど!」

「仕方が無い、私が付き合ってやろう、感謝せよ相棒」

「麗菜かよ」

「あ?刺すぞお前」

「すいません嬉しいですすいません」


放課後の部活のときに、俺は今までしてみたかったことを言ってみることにした。
よくわからないけれど、最近はあれがしたいこれがしたいとよく思うようになった。
まぁこんなことを言ってる俺の手にはもう、戸塚のターたんくんから拝借してきた竹刀が握られているわけだが。

決して誰かをぶん殴ってやろう!という恐ろしいヤンキー的な思考ではない。
俺は優しいヤンキーです。


「まぁ、麗菜は得意だろ?ほら、空手でしてたじゃん」

「いや、なんだいきなり会話しださないで。そのゼント破壊するぞ」

「あ、悪い破壊しないでください」


リーゼントは俺の象徴だというのに、奴は俺があまりにマイペースに会話を進めるのでご立腹のようだ。
まぁ、いいや!気にしても仕方が無い。この家系は仕方がないのだ。


「んで、何が俺が得意なの?」

「これ」

「……剣道なら、ターたん呼んでこよう!?」

「……いや、そうじゃなくてさ」


とても笑顔で戸塚のターたんくんを呼んでこようと言われてしまった。
なんだか若干申し訳が無い。


「こうやって一人が振り回して、それにあわせてもう一人が動くんだよ、操り人形みたいに」

「……振り回したい!!」

「やっぱな!」


どうやら麗菜にはお気に召したらしい。酒仲間も、うんうんって聞いてはいるし、トールさんも頷いてはいるから、これは採用されたんだろう。
やったぜ!ばんざい!


「あ、でもさぁそれするんだったら身長的に麗菜ちゃんは前だね〜」

「はっ……!……全員、縮めよ今すぐに」

「じゃ、じゃあほら、これの回し方とかあんだろ?それほら麗菜が俺等に教えてくれって」

「おしきたやる」


しかし、そうなると組み合わせがまた問題である。
多分俺とトールさんが後ろで竹刀か何かを振り回す方だろうな身長的に。
じゃあ流れで俺が操ってるように見せるのは麗菜か?
いや、でも身長を考えると、リーゼントで2Mに到達している俺が酒仲間のほうがいいのかもしれんな


「じゃあさ、こうしない〜?俺が麗菜ちゃん動かしてるように見せるから、ルアくんがトールさん動かせばいいんじゃない?」

「……あぁ、俺はそれでもかまわないが……」

「トールさんの横!?うわーい!俺得!……しかしこんな男前と並んだら俺の何かが崩壊する!」

「え、あ、おう」


おっと、どうやら酒仲間の提案があまりにあっさり受け入れられたようだ。
まぁ、俺はできればなんでもよかったし、いいんだけども。

それからすぐ、麗菜は竹刀を棍棒に見立てて振り回しては突く作業をしだした。これは当たったら結構痛いんだよなー。中学んときだっけ、これが俺の顔面にクリーンヒットしてあまりの痛さにキレて喧嘩したのは。

アホだなー俺等。


「うーん、難しいよね、これで踊るとなると」

「空手でやってたのとはまた違うんか〜」

「そうさ〜違うさ〜」

「「うえっへっへっへ」」


酒仲間とトールさんが何を言ってるんだと言いたげな目でこっちを見ているがまぁ、気にしないに限る。
こんなの日常茶飯事である。


(こうやって楽しんでおかないと、いけない気がした)

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