お?どうしたん?

次の日も俺はルンルンと朝っぱらからリーゼントを作りルンルンとしながら食堂で朝飯を食ってルンルンとしながら通学をする。

未だに咳がなおらないが、もう咳をしすぎて、多分癖になってしまったんだろうと思う。
昔も一回、そうやって癖になったことがあるから尚更に。


「おー、草薙ちゃん!はよ!」

「あ、お、おはようございます……!」

「?どうした?なんか元気なさげに見えるぜ?」

「そんなことないですよ!元気です!」


明らかに作った笑いで草薙ちゃんは俺に笑いかける。まったくいい子だ。
だからポスポスと頭を撫でておいていつも通り俺もニカッと笑っておいた。

そういえば、昨日があまりに普通通りだったから今日は俺は一人で登校してきてしまったがトールさんが見当たらない。ロッキーにおバルはいんのに。


「あー!アンタ一人なのォ?」

「え」

「あれ、本当だ……トールは一緒じゃないんだね?」

「え、ま、まじか、ちょっと俺、戻るわ!」

「「え」」


どうやらあの言い方をしているということは、一緒にいないということはトールさんは俺を待っている、っぽい。
と推測をしてもと来た道を全力で戻っていく。

まさか、が当たったようでトールさんは俺のいない俺の部屋の前で俺を待っているようだ。
やべぇ申し訳ねぇっす。


「あ、あの……トールさん……」

「……!……もう、外だったのか?」

「あ、えっと、すまん!なんかその、うん」


どう言えばわからずにうーんと考え込む。まさか思っていたことをそのまま言うわけにもいかんだろう。うん


「……いや、大丈夫だ。俺の方こそ、すまなかった」

「へ!?あ、いやいやこれは完全に俺だからな!?謝るの!」


すいませんと謝れば気にしなくていいと言ってくれた男前の優しさはプライスレス。
気にしなくていいと言ってくれたから本当に何も気にせずに話しかけているとトールさんがジッと俺を見ていることに気づいて、でもそれに若干の"何か"があることにも気づいて。
草薙ちゃんに感じた違和感と同じ、この違和感。


「……なぁ、どうかしたん?」

「……いや、大丈夫だ」


ほら、また。誤魔化された。



「なぁ、なんが、あったんだよ……」

「心配性だな、ルアは。何もないよ、大丈夫」

「……嘘ついてんじゃねぇよ、この−−−−」



まるであの時と同じような、この胸に現れた不信感。
誤魔化しといて、最終的にあぁなったあの時は本当に腹がたった。でも、それも何かを守るためだと思うことにして、最後まで俺は、笑うことしかできなかった。


「……誰かXにでも、なった?」

「?……すまない、聞こえなかったのだが……」

「あぁ、悪い悪い独り言だから、気にすんなって!それより、ほら!行こうぜ!草薙ちゃんもロッキーもおバルも待ってんだ!」


(もし俺が、父さんのポジションになってしまうならば、俺は……その人の望む方法で……)

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