有限ループ5分の1!
文化祭もひと段落ついて俺は残りの秋を満喫していた。
それにしてもこの世界は凄い。春の次に秋がきたぜ!ということは俺の誕生日はまだきていないということらしい
何せ俺は夏だ、夏男!
だから暑苦しいのか、と秋冬ガール美月と小柚希には馬鹿にされたが。
いつもの4人で外を散策していると目の前を黒猫が通りすがった
可愛いなぁと思いつつ、ポケットにいれっぱなしだった菓子で餌付けをしてみる
「にゃんこ!」
「猫かよ、触るなよ、触るなよルア」
「なんでだよーお前ほんと動物嫌いなー」
「そうだぞ満田!にゃんこかわいいだろ!」
「どこが」
そうだった満田家は動物嫌いなのだ。いや実際、個人で動物に遭遇すれば優しくもしてるようだけど。麗菜と莉子だけが。
ユウジさんとメグさん、柊さんに冷慈は個人で遭遇しても動物に嫌悪の表情をしている
特に、猫は。
なにやら「人間なめてる」らしいのだ。
いやはやさっぱりわからんけども。
「チッチッチッチ、こっちこいチビ猫」
「にゃー……」
寄って来てくれたチビ猫を抱えあげたらニャッ!と声をあげて震えていた
……なんだ?
「ルアー高いのだめなんじゃない?お前ただでさえ巨人なのにさ」
「猫の癖に高いのだめとか、ハンッ」
「満田!にゃんこ馬鹿にすんなよ!」
美月と麗菜が騒ぎ出すからめんどくさい。
俺はとりあえずその猫を懐に入れるように抱えて撫でる。
ちなみに小柚希は遠くから何故かカメラを構えてみている。
あいつは動物アレルギーだしゃーない。
「あっ!」
さっきまで大人しくしていた黒猫が不意に俺の懐から飛ぶように逃げ出した。
ただし、着地に失敗したのかドシャッとコケたが
「ちょ、猫ワロター!!ドジじゃん!ざまぁ!」
「満田ぁああああ!!」
「あっはっはっは!」
満田家特有の"他人のドジがツボ"なのが発動されたのか、猫のその様を見て麗菜は非常に喜んでいた。
でも、お前の百虎も猫みたいなもんだと思うんだけど……あぁ、あの虎はそういえばもはや麗菜のしもべみたいになってるんだった
奴が、ネジのぶっとんだことをやらかそうとすると止めてるんだった。
「げっほ、げっほ……うーん、やっぱ風邪かね」
「「お前が?」」
「いや、馬鹿でも引くってトールさんが……」
「「「大丈夫大丈夫」」」
「おい、お前らの俺の扱い!」
時たま咳き込んでしまうものの、どうやら風邪のようだ。
まぁ、幼馴染の対応は慣れたものなのでこの際無視しておこう。
それにしてもあの猫はなんだったんだろうか。いいなぁ、あいつは今から人生歩むって感じだ。
俺は多分人生の1/5はもう来たぞ。
いや、ずっとこのままなのかもしれないけど。
(だって、俺は永遠の16歳ですし)
動くことの無い体内時計なんか役に立たない。
俺は心の思うままに生きていたいだけだから
「なぁ、俺はいつまでこのままだと、思う?」
空に向かってふと呟いた。よし誰も聞いていないようだ。
このまま立ち止まったままじゃいけないことは十分にわかっている。
だけど、まだわからない。
俺は成長を拒んでしまったから。
(大人はつまんなさそうじゃん)
いつまでも、ちょっとしたことで感動を覚えて、ちょっとしたことで盛り上がって、ちょっとしたことで騒いでいたいだけなのに、周りはどんどん大人の汚いところに染色されていっているのがよく見える。
(どうしたもんかな。俺も、いつかあぁなるのか?いや、大丈夫。だって俺はネバーランドの住人だもんな)
心はいつまでも少年のままでいよう
(人生まるっと俺の青春なんだからさ!)
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