オーディション勝ち抜いた!
あれからみっしり練習を重ねたおかげで、俺たちはステージへの切符を無事に手に入れた。
なんでそこ省いた!とか言わないように。子供の事情です。間違った20歳の事情ですよ。
さてさて、今、俺はお偉いらしいトト先生に御呼ばれをされましたとさ。
てっきりおいしいご飯の一つでもおごってくれるのかと思ったらそうではないようです。
「禁忌、貴様、ゼウスから何ひとつ、聞いていないのか」
「へ?」
真剣な表情からつむがれた言葉は俺を拍子抜けさせるようなものだった。
なんか夜の校舎の窓ガラス割ったのはお前かとか言われるかとちょっとワクワクしたというのに。
残念だ。
「言われたのは、えっと、青龍の神様になれってのと、いろんな愛の形とやらを理解しろってのと、大人になれってことだったような……」
「……他には」
「いや……他にはねぇけど……」
素直にそう答えれば、トト先生とやらから深い溜め息が聞えた。
なんだ、なんなんだ。溜息とは!
仕方ないだろ!他に教えてくんなかったぞあの人!と言いたい事を顔には丸出ししても声には出しません、お利口ルアくんです、いえあ
「……、ゼウスの言うとおり同じ顔だな。あいつの方が幾分かマシか」
「??」
「聞いていないならば、用はない。去れ」
「えー!なんだそれ!俺、来損じゃんかよ!」
「去れ」
「帰りますよーだ!」
一体何のことを言っているんだろうと考えながらも、図書室を後にして、昼飯を求め購買部へ歩いていった
(あ、生徒手帳、忘れた……。まぁいいやその辺の奴ひっ捕まえて買ってもらおうっと)
「……大天使、ラファエルはどうした」
「奴はまだ起きてはいない」
「……参ったな。彼奴はこのままでは、……あの悲劇の二の舞、か」
「……それもまた、遺伝なのだろう。似なくていいところが似たらしいな」
「あぁ……。お前もなんとかしてやれんのか、ユウジ」
「……俺に言われましても、だな。牛耳ってる俺にでも、できること、できないことはあんのよゼウっちゃん。トトちゃん」
「……本人の決断を待つばかり、ということか」
「……どちらにせよ、避けては通れないだろう」
(((卒業まで持つかどうかは、ルアの生命力とXXXX達の加護の強さに掛けるしかない)))
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