練習の間にトラブルヤンキー☆

「ということで、こういう歌で踊ります!」


次の日の放課後、曲を流しながらトールさんと酒仲間に自信満々に麗菜が告げる。麗菜が。
俺?俺ならもくもくと体育館の床をゴロンゴロンとハイスピードで転がるだけの簡単なお仕事なうです。
身体が痛いです。

どうしてこんな馬鹿なことをしているかというと、特に意味はありません。馬鹿だから仕方ないでしょう。


「しょっぱな、踊って見せるから見ててな!!……おい!馬鹿!」

「ごろごろ〜!」

「ごろごろじゃねぇ!バカヤンキー!」


グシャッと麗菜に踏まれて、俺のハイスピードゴロンゴロンは終了を告げた。畜生。あと少しで壁に到達だったのに。

当然痛くなった身体を起こして引きずられるまま歩いていく。


「お前がこれやるって言い出したんだからな?な?」

「はぃいいいすいません」


奴のスマートなフォォン様から流れる音楽を聴きながら昔からの抜群のタイミングで二人して身体を動かす。
あぁ、麗菜も楽しそうである。
俺も〜?楽しい!ことには違いない。




「……つ、疲れた……」

「あー、踊った踊ったぁ」

「食った食ったみてーに言うんじゃねぇデカブツ!」

「下が?」

「死ね!!」


見せるために通したのが終わってすぐに、へばっている麗菜。本当にそこの家系は筋力があるのに持久力のなさがすばらしい
百点満点中百点をあげよう!拍手!


「へぇー凄いねぇ」

「……俺に、できるか?」

「大丈夫!ぜってー大丈夫だって!」


踊れたら絶対かっこいいから!と言おうとしたとき、急に地味に咳が出そうになって思わず喋ることをやめた。
飲み込もうにも、飲めこめず仕舞には盛大に咳こんでしまった


「げっほ、げっほ……っぉぇ」

「吐くなよ!?」

「は、かね……っげっほげっほ」


さすさすとトールさんが背中をさすってくれたおかげで若干楽になった気がしなくもない。
だいぶん咳き込んでから酸素を取り込むように深呼吸をすれば普通に戻った。
っかしいな、喘息とかじゃねぇんだけどな


「お前風邪か!?馬鹿は風邪引かないのに!」

「ちょ、麗菜ちゃんそんなストレートに!?」

「……そうかもしれん!!でも俺馬鹿なのにな!?」

「!?……馬鹿でも風邪はひくと思うが……」

「「え!?」」


(どうやら風邪を引いているようだ。こんなときこそ元気に!病は気から!)

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