ヒーローis俺!
「いやぁ、それでさー!聞いてるかー?」
「おー聞いてる聞いてる」
毎日のように、幼馴染やらロッキーやらおバルくんやら重複ボーイに派手さんとくだらない話を最近はしている。
これが地味に楽しいのだ。
「いやぁ、困っちゃうよなー」
「んで、お前はおれに武勇伝語りたいだけか」
「美月こっわいぜ?」
「なんだとゴルァアア!!」
現在美月に追い掛け回されております。
弟の双子とは違う意味でこいつは感情豊かである。
実に面白い。
「あ、草薙ちゃん!ちょっとごめんな!」
「へ!?」
「ぐぬっ……!結衣ちゃんを盾にするとは……!!」
「あーばよ!」
「クレージュタークト!白いボディーのぉお!」
「きーらり!」
「かけぬけーたー!真夏の」
「「一秒!!」」
「!?!?」
周りの生徒が何をしているのかという目で見てきている。
これが俺たちのお遊びなのである。どうぞ、お構いなく!
草薙ちゃんも完全に対応に困っているようで挙動不審な動きになっている。いやー可愛いですね!!
ワイワイと騒いでいれば後ろからポンっと肩を叩かれた
「?」
「……楽しそう、だな」
「トールさん!おうとも!楽しいぜ!」
たぶん、ここでは一番仲が良くなった気がするトールさんが声をかけてくれた実に嬉しいことである。
聞いてほしいことを聞いてくれるし、聞いてほしくないことは聞いてこない人。
「……ルア、これは、お前に出せばいいか?」
「へ?……え?」
突然トールさんから出されたのは入部届けと書かれた紙。
トール・メギンギヨルズと綺麗に名前まで書かれている。
おまけに、ダンス部、らしい。
「!?帰宅部は!?」
「……草薙に話はしてある。大丈夫だ」
「お、おー……なるほど……」
なるほど、と言ったもののいまいち、理解はしていない。
ひとまず、帰宅部はいいらしい。しかし意外だ。いや確かにトールさんが踊るとなるとそれはまぁ、イケメンだろうが……
「……あまりに、お前が楽しそうだから、興味を惹かれた」
「あぁ、そゆこと……了解したぜ!よろしくなっ!」
嬉しさのあまりかきっと満面の笑みで手を差し伸べただろう。
少し驚いたような表情をしたあとで軽く微笑んで、トールさんは俺の手を握ってくれた。
(たった一年で、俺はどこまで変わるかな)
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