ルンタルンタるーん
放課後に、体育館で、鳴り響くのは俺の相棒アイフォン様から流れる音楽と、床から聞えるキュッという音だけだった。
まぁ、俺が早速部活動に励んでいる、というわけだからだが。
無心で身体を動かすのは好きだ。何も考えなくていい。
思い出さなくていい。
動くたびに靴と床の摩擦音がキュキュッと聞える。
すすいだ瞬間キュキュッと落ちてる!みたいな言い方になってしまったようだ。
「……」
「……ん?」
人の気配を感じて、パッとそっちを向けばトールさんがいた。
おぉ、なんと男前がやってきた。驚きだ。
確か、トールさんは帰宅部だとか言っていたが、今日は部活はいいのだろうか
いや帰宅部っていったいなんの活動をしてるんだろう。
「……すまない。気になってな」
「おうおう!いいってことよ!俺も丁度休憩したかったしさ!」
休憩〜っと体育館のステージに座り込めばデコに何やらひんやりしたものが置かれた
お、スポーツドンリクだ、ばんざい。
「……人間は、身体を動かしたあと、スポーツドンリンクというものを飲むと草薙に聞いた。……飲むといい」
「サンキュー!もう俺ってば汗だくでちょうど欲しかったんだよなー!」
ゴクゴクと飲み干せば身体に塩分がぶわぁあああ!と回った気がした。
あぁん、おいしいっすな。
大丈夫だ、今結構動いたので塩分過多にはならない!
日白義姉弟じゃあるまいしな。
「……踊るのが好き、なんだな」
「すっげー好き!楽しいし、何も考えなくて済むだろ?」
「……考えることがいやなのか?」
「すっげー嫌!俺、見てのとおり馬鹿だからさ、頭使うと、すぐキャパオーバーしちゃうかんなー。困った困った。俺の脳みそ、クルトンだからさ〜」
「……クルトン……そんなに小さいのか」
「そう!すっげーちっせぇの!だから……な」
小さすぎる脳みそではあんな悲惨な愛の形なんか理解できない。
ましてや俺の脳みそはブンブンシャカ!ができるような可哀相なほどお粗末なものだというのに。
「……?」
「あ、いやなんでもねぇよ!あ、これありがとう!」
スポーツドンリンクのお礼を言ってから、俺はまた相棒から音楽を流して身体を動かす。
あぁ、たのしーなぁ。
「……本当に楽しそうに踊るな」
「あっはは、そうか?全然自覚ねぇよー!」
(男前代表、トールさん、黙っててもマジ男前)
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