部活動開始!

「あ、あの……ルアさん……」

「お、人間ちゃん!」

「草薙です。草薙結衣」

「草薙ちゃんな了解したぜ!」


さっきの濃い紫色の髪をした女の子は草薙ちゃんらしい。
かわいいですね、ジャスティスです。
草薙ちゃんは何かを言いたげにしている。ちっせぇ女子だちっせぇ女子だ!
可愛いなぁ、と思いながら、続く言葉をニコニコとしたまま待つことにした。


「実は、皆さんに部活をしていただくようお願いをしていて……ルアさんにも何か部活動をしてもらいたくて……」

「お、了解!任せてぇえ、ルアくんってば言われたことはちゃんとするかもしれないいい子だかんな!」

「……」


草薙ちゃんは驚いたような表情で俺を見ていた。
なので俺もわざと同じような表情をして見返しておいた


「あ、あの……ルアさんは、ゼウス様から何を、学ぶように、言われたんですか?なんだか、学ぶことが、なさそう、というか……」

「そう思うだろー?俺も思っちゃうんだよなー」


うんうんと頷きながら彼女の言葉をもう一度頭の中で繰り返す。
さて、なんだったかな。

愛の形を理解するとか、大人になれとか、だったけれどできる気が皆無である。


「……世の中に山のようにある、愛の形を理解しろっつってたかなー」


あえて、その一つだけを言っておいた。
時間を動かせ、というのは無理だし、動かす気もないから意味がないのである。
がんばれば、その愛の形、とやらは理解できるかもしれないが、現状の俺には無理だろう。


「……愛だの、恋だの、煩わしいだけだっての」

「え?」

「ん?いや、なんでもねーぜ?」


小さく呟いた言葉は草薙ちゃんには届いていなかったようで安心した。
いつも通り、楽しいことだけを話題にしてゲラゲラ笑っている俺をトールさんがジッと見ていることにも気づいてはない。


「……ちょっと、いいか?」

「へ?」

「……、勘違いであれば、すまない。ルア、お前はどうして無理をしている……?」

「……え?」


一瞬で辺りが静かになった。俺の事情を知っている幼馴染3人は視線をそらしている。
まぁ、聞いて楽しい話ではないし、言って楽しい話でもないのだ。


「それはトールさんの勘違いだと思うぜ!俺、いっつもこんな感じなんだって!な、麗菜!」

「あーそうなー。ルアくん、うるさいですよー」

「なんだと!!」


こういうときに話題変えるために話を振るのは麗菜が適役なのだ。
テンションが、同じだからな。
ワイワイとまた騒ぎ出せば、皆がまた笑顔になる。そう、これがいい。


「あ、そうだ草薙ちゃん!」

「は、はい!」

「俺な、ダンス部がいいんだわ!」

「へ?」

「こんなだけどな、それぐらいしか取柄ねーのよ!」


(ワンツーステップで、ヤンキー力上げれば?)

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