教室で出会う
どうやらここには自分専用の寮部屋があるらしく、俺は部屋で制服とご対面した。
うん、俺の好みを理解してくれているようで、安心した。トールさんのような堅苦しそうなのは俺は着れないからな
それから、教室へと言われたとおり地図を片手に向かえば、ドアを空けた瞬間、生徒の半数が見慣れた顔で、俺は思わず一旦ドアを閉めた。
「……よし、見間違ったな、俺」
深呼吸をしてもう一度ドアを開ければ、現実が、突き刺さった。
なんということでしょう。どうして目の前に、幼馴染とその弟達がいるんだ。
謎だ謎すぎる。
「なんじゃぁあああ!!!」
「おー、来たかー」
「ひー!高校ん時みてぇ!相変わらず、ヤンキーですねぇ」
「ヤンキー美しくない」
飛び込むように教室に入れば、美月がいつも通りの反応をし、麗菜がニヤつき、何故か、小柚希に否定された。
美しくないってなんだ、俺は、美しさなんぞ求めてヤンキーをしているわけではない。
俺がヤンキーをしているのは、なんだ、その、血だ。うん。きっと。
「ルア兄!」
「冷慈!説明、説明!!」
「え、説明って、さっきゼウスのおっさんに聞いたんじゃねぇのかよ」
麗菜の弟である冷慈へ説明を求めれば、呆れたような顔でそう返された。なんでお前んとこの家系はそう乾燥してるんだ。爆ぜろ。
完全に困り果て困惑をしていると、不意に後頭部を何やら殴られた。
いや、なんか、こう……出席簿でゴンッとやられた。
「いってぇ!?」
「馬鹿ルア、元気そうで、何よりだな」
「!!柊さん!?」
「雷神」
「へ!?」
「日本神話の雷神だ。養護教諭をしてる。んで、冷慈が風神で……」
「ちょ、ちょいちょおおい!」
いきなり、現れた俺の師匠のようなおっさんは満田家姉弟の叔父さん。俺もよく知っている人物の一人であるよ。
それだけで驚いたというのに追い討ちでもかけるかのように誰がどの神なのかを説明しようとしてくる。
やめてくれ、俺の容量の少ない頭が破裂する、あと10秒で。
「……、馬鹿だな」
「いやいや、混乱しねぇほうがおかしいって!」
「麗菜たち3人は普通に飲み込んだぞ」
「あいつ等と俺比べないで!!」
「「「失礼だな、おい」」」
背後で黒い声が聞えたがこの際もう気にしない。おう、気にしない。
もう一度、確認するためにグルリと教室を見渡せば、また、見知った顔を見つけた
「……」
「……あ、えっと、さっきは、どーも……」
「……あぁ」
トールさんだ。まさか神様だなんて誰が思うんde sky?
あぁ、なんてこった。俺の、俺の平和な日常が。まぁ嘆いても仕方のないことではあるけれど、嘆からざるを得ないというか。なんというか。
「アレェ〜?さっきの変な人ジャーン!ヤッホー」
「あー!お前!さっきの赤髪!」
「オレは北欧神話のロキだよっ、ヨロシクねぇ〜」
なんだと、なんだと。神様だと。いや、さっき聞いた気がするがもうだめだ、頭がショートする。
これは大変だ
「あ、あの……大丈夫、ですか?」
「!!お、おぉ……ハッ!まさか、こんな大和撫子ちゃんも神様か!?なんだ!?何の神様だ!?」
「あ、いえ、あの……」
濃い紫色の髪をした可愛い感じの女子に声をかけられたものの、ここが神様の学園だということを思い出し、まさか神様なのか!と慌てふためいた。
こんな可愛い神様なんて、神様ずりぃ。
「おーいルア、その子は人間だぞ」
「ちなみにお前の知ってる日本人の顔の面々は皆、まだ、人間〜」
「へ!?」
「……ルアと一緒ってことだよ」
「へ!?」
「おい、お前等、追い討ちかけるのやめてやれ」
「「「ふははは!!」」」
(一気に何がなんだかわからなくなったので、もう、神様とか人間とか気にしない方向性でいいや)
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