久しぶりすぎる教室
「……」
ワイワイとうるさい教室で俺は窓際の席で、寝る体制をとっていた
授業中は寝るとトト先生っていう人がとても恐いらしく、結構頑張って起きているから休み時間になればすぐに寝るしかないと悟ったのだ
「あの……」
「……?」
いざ寝ようとすれば、あの女の子が俺に声をかけてきた
名前までは聞いてたけど忘れたのでわからない
でも顔は覚えていた
あとツクヨミさんと冷慈に似た人。
「実は、皆さんに部活動をしていただいていまして……。宋壬さんにも何かしていただきたくて……」
「部活動……?」
「あ、はい」
そういえば現実の学校にもそんなものがあった気がする。
俺は形だけの美術部員だったけれど
「……あー……美術部員」
「美術部……絵、描かれるんですね!」
「……うん。大した絵じゃないけど」
本当にたいしたものではない
ただ気が向いたら暇つぶしに書いているだけ
それでも部活に入らなければならないなら美術部でいいや
「……じゃあ俺は美術部でいいや……」
「!!ほんとですか!?ありがとうございます!!」
「……」
ただ部活を選んだだけでここまでお礼を言われるなんて不思議だなぁとボンヤリ思いながら襲ってきた睡魔に素直に身をゆだねることにした
「ストップ!」
「なんだい冷慈、大声出して」
「海外なんかに行かせてたまるかよ!絶対に行かせねえからな!絶対!」
「冷慈、なんで泣いてるの?」
「あいかわらず、騒がしいですね今年も」
「主に冷慈がな」
「そういえば柊さん、初夢、何見ました?」
「おせち料理に入ってる海老と格闘する夢だった。俺が勝ったけどな」
「・・・お疲れ様です。」
冷慈は覚えてるだろうか、こんなことを言っていた年始の光景を
結局いつも冷慈は俺を明るい場所へ引きずりだそうとしてくれている
この光景も、引きずり出された結果だ
こんなに楽しそうなのに、すぐに、暗いようなつまらなさそうな表情をする冷慈を俺は助けることもしなかったのに、なんでかいつも俺を気にかけてくれる
そんなんじゃ、そんなじゃさ、冷慈
(いつか冷慈が死んじゃうよ……)
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