ガタガタガタ

それからは結構忙しくて、冷慈やルアくんになんでか聞きつけたらしい麗菜姉さんにも教えてもらって俺はガタガタガタと毎日とある機械の音と工具の音を鳴らしていた

休み時間にも放課後も夜も。

けど、しっかりごはんは食べるし眠っている。
だから、言うほどキツイと感じることはない。


「できた……あと、持って行って、向こうで組み立てるだけ……」

「宋壬〜〜!!あー!イケメンだった!かっこよかったぞ!!」

「麗菜姉さん……暑い……」


大きめの板とバカみたいに大きい布を3人に少し持ってもらって、ステージのところへいく。
文化祭前日にやっとできたステージ。

提灯の装飾にはみんなの名前が書いてあって、綺麗だなと思った。

そのステージに付け足すのは上り下りするための階段と紅白の幕。

幕をさげるためのカーテンレールみたいなのはじつはルアくんが作ってくれたもので、寸法もバッチリだ。

紅白の幕は麗菜姉さんが色んなことを教えてくれて、一緒に縫ってくれた。

階段は冷慈が、丈夫で軽い木材でいかに簡単に作るかって試行錯誤してくれた。


皆でやってて、少し、楽しかった。


「っしゃー、できたな」

「ほら、俺とかこれで踊る人だからさ」

「いやぁおばちゃん泣きそう」


冷慈もルアくんも麗菜姉さんも、なんだかんだお人よしで優しいし、こういうことが好きだから、楽しそうだ。
よかった。と思いながら疲れた体であたりを見回せば、驚いてる草薙さんが目に入った。


「宋壬さん……これ……」

「俺には、知識ないから……知識ある人達知ってたから、手伝ってもらってた……」


実は、俺は俺で出来ることがあるから。と言って今日まで俺が何をしてるかは2人には隠してきたから。

どうやら喜んでくれているらしい。


「ありがとうございます!すごいです!」

「……うん。何も、できないから手伝ってるときっと邪魔になったから」

「そんなことはなかったと思いますけど、でもおかげでこんな素敵なものに仕上がって……」


うん、喜んでくれてるし、どうやらイイコトをできたようで、俺もちょっとうれしい。
月人さんは脱力してステージに腰かけていた。
一番大変だっただろうな。と思いながら声をかけにいく


「お疲れさまです」

「日白義宋壬、君ですか」

「すごいですね、ステージ」

「君の作ってくれた階段や幕も、すごいです」

「……ありがとうございます」


どう見ても素人が作ったとは思えないような綺麗さ。
うん、すごいな。と思いながら見ている。


「本当にやり遂げたんですね」

「出来は悪くないと思います」


草薙さんも嬉しそうにつぶやいている。
結構疲れてるけど。


「とんでもない……素晴らしいです。本当にすごいです」

「君と日白義宋壬がいてくれたからです」

「そんな、私は何も……応援くらいしかできませんでした」

「……俺も」

「宋壬さんはすごいですよ!」


すごい、かぁ。全然そんなことないんだけどな。と思いながらありがとうと素直にお礼は言っておいた。


「俺を見守ってくれている人たちがいるだけでこんなにも力を発揮出来るとは新たな発見でした」

「月人さんだって、すごく頼りがいがあって素敵でした」

「俺も……そう、おも……」

「宋壬さん?」


目を閉じて、ゆっくりと船をこぐ。
疲れたら眠くなった。できたし間に合ったから安心したんだろうなとその場でそっとステージに横たわって眠る。


(おやすみなさい)


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