おはようございます?
気づいたら時間はスーと流れて、季節は俺の嫌いな夏だった。
今日も廊下に出ると月人さんと草薙さんがいる。おはようございます。と心の中で挨拶をしておく。
「宋壬さん、おはようごいます」
「では、行きましょう」
食堂で朝ごはんを食べて、それから教室。今日は朝からトト先生だ。
ノロマって言われそうだな。と思いながらも二人の少し後ろを歩く。
「……」
眠いなぁ。今日も寝て過ごそう。あとご飯は大事。
「貴様ら、席に着け。フェルマーの最終定理の時間だ」
トト先生がそんなことを言うから、俺は思わず目の前の席にいる冷慈に聞いた
「……なに、それ」
「知らん」
パッと周りを見ると草薙さんが数学の教科書を出していたので、俺も真似をしておいた。
「起立!起立!」
「「「ヤー!」」」
「……禁忌、変人、チビ。何を言っている。意味のわからない発言は慎み教科書を開け。授業を始める」
ローカルだ。ローカルネタだよ。麗菜姉さん、美月ちゃん、ルアくん。
福岡の人にしか通じないよ……。
目の前で冷慈は、盛大にため息をついていた。
双子も、だ。
(今のことだろうな)
やっと授業も全部終わって、俺は帰ろうとしたところを生徒会様に連れられて、生徒会室へやってこさせられた。
帰りたいです。
「はぁ……はぁ……」
「お疲れのようだね。原因はカドゥケウス先生かな?」
「教師共々だよ、共々。授業の挨拶はできないし、冬を期待すれば夏になっちゃうし……」
どうやらつまり、柊さんとグルーガンさんも含まれているようだ。
あとで伝えておこう。
「だったら、夏の行事を考えて気持ちを切り替えたらどう?夏のことが好きになるかも」
いえ、そんなことぐらいで夏を好きにはなれません。と思いながら、また椅子に腰掛けて、半分は夢の中。
「夏の、行事…………………………夏の行事!」
「復活しましたね、アポロンさん」
「……だね。夏の太陽のようにまぶしいな。さて、肝心の内容だけれど……」
「「…………………………」」
眠いなぁ。と思いながら、寝かけています。
それにしても、夏の行事、夏……溶ける……。
俺が溶けるというのに一体なにをするんだ。
なんとなく頭で連想ゲームをしてみる。
夏といえば、スイカかな。でもスイカ割りは昼間にやるからしかも海で。日差しカンカンだし暑いから却下だ。
夏……夜……花火大会……お祭り。
「………………、夏祭り、だ」
「え?」
「……夏祭りなら、俺、手伝うよ」
「!!しましょう。宋壬さんがせっかく提案してくれましたし」
「夏祭り……ですか」
屋台とか、色々あって食べれるし、いいと思う。
暑くないから溶けない。夜だし。
うん、それがいいな。
(まさかそんなことになるなんて、今は微塵だって思わなかった)
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