団子食すよ

皆が作った団子に手を伸ばす。もちろん、俺も。
というか早くこれが食べたかったんだ、俺的には頑張った方なので、もうお腹もペコペコである


「さァて、肝心の団子は〜?ぅんまぁ〜い!なに、この感触サイコーじゃ〜ん」

「それはわたしの作ったものだけど。ロキのはこっち……」

「それはバルドルのために作ったの!だからアゲル〜!オレはバルドルの食べるからさっ!」


ロキくんとバルドルさんがそうやっているのを見ながら、俺も冷慈が作ったものに手を伸ばす。一番安全食。

もちもちしてて、ほんのり甘くて、美味しい。


「おい!何おまえ、俺の食ってんだ!」

「……冷慈には、俺のあげる……」

「え……ちょ、ま、まてお前等!」


俺の言葉を合図に、双子が冷慈を背後から羽交い絞めにして、その冷慈の口に俺の作った団子を放り込んだ


「……っ……?う、まい……?」

「「「え」」」


冷慈の口に放り込んだのは、中にブルーベリーソースを練りこんだやつで、色的には美味しくなさそうな紫の団子。
でも、どうやら、冷慈には美味しかったようで、それと自分の作った普通の団子を交換してくれた。


(毒見のつもりだったんだけどなぁ……)


そうこうしていると、ロキさんたちの方からも声が上がって、思わず4人でその方を振り向いた


「か、か、か……んぺきっ!なんだろう、この刺激的な味は?たまらないね」

「えっ?」

「この味はワサビだね?最近、わたしが日本ブームと知って作ってくれたんだね、ロキ!」

「う、うん。まぁ、そうね。喜んでもらえてオレもハッピー……って、さすが不死身」


うわぁ、と4人でそこの2人を見てはいるけど、さっきの冷慈と俺達のようでもあるな、と思った
なんていうんだっけ、こういうの


「…………災い転じて福となす」


トールさんのその言葉を聞いて、それだ。と思いながらも、そんなやりとりのおかげで、他の神様たちも笑顔だった。
皆のお団子を一個ずつもらってもいいかな。だめかな


「……!素晴らしい出来だ。このもっちり感と上品な甘さが最高だ」

「あ、マジだ。酒飲みた〜い!」

「…………確かに旨いな。……誰が。……作った?」

「兄貴だろ?」

「「え、月人さんが?」」


俺と、草薙さんの声がかぶっていた。意外、といえば、意外だった。
なんか、神様だからか、生活感のないあの人が、そんなにおいしい団子を作るとは、予想外だった。


「えぇ」

「料理が得意なんですね」

「いえ、レシピの記述に忠実に従っただけです」

「……それでも、凄いです。……俺は、その通り作っても、なんでかうまくいかないので……」

「「「宋壬はまず砂糖と塩を見分けろ!!」」」


なんでか、うまくいかないとそう言えば、また3人から怒られた。
そんなことを言われてもどっちもただの白い粉にしか見えないし、それに加えて粉砂糖も重曹もあって、もう胃に入ってしまえば一緒な気すらするのに。


「えー……難しい。……月人さんのお団子をください」

「どうぞ」


皆が絶賛する月人さんのお団子をもらって一口で食べる。


「……おいしい……」


冷慈のもおいしかったけど、月人さんのはもっと美味しかった。
冷慈に言ったら怒られるので、言わないようにしよう。


「僕にも!僕にも!少し、ほんとに少しだけでいいからちょうだい!」


アポロンさんが月人さんの団子を積んだ大皿に手を伸ばしたその時だった




「あ……!!」


(ガシャンという音と一緒に辺りが破片まみれになった)

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