いたずら犯ほかーく

夜になって、自分たちで作ったお団子にお供え物をもって校庭に神様が集合した。
さぁ、お月見だ。お団子いっぱい食べないと。


「これから移動するけど、夜道は危険だから、僕らの誘導に従うように。引率にグルーガン先生もいるから、頼りにしてね!」

「お月見かぁ。これは楽しみだね。皆怪我はしなようにね。今怪我しちゃうと柊がうるさいからね」

「え?」

「柊はねこの時間は少年と化しちゃうから、怪我して戻ると、傷口に塩練りこまれちゃうよ!」


あぁ、それは大変だ。とても痛い。
俺も何度か見たことがある。この時間の柊さんは確かに恐い。
なんというかヤンキーの血が騒ぐのか、バイクか車かをよく吹っ飛ばしているのを見かける。


「それじゃあ、行こうか」




この間の場所についた。今日も今日とて夜空が綺麗だ。雲もひとつもなくて、満月は綺麗に光輝いている。おぉ、眩しい。

ほんの少し気温が低いのか、ひんやりとはしているけど、それは多分、川辺だからだろう。うん。


「へぇ〜!こんな場所があったなんて、オレってば完全に調査不足だったなァ。ちっと、そこら探索といきますか……」

「…………イタズラ犯ほかーく」

「へ!?ちょ、宋壬んってばどしたの〜?どういう風の吹き回し?」


皆が準備をしているときにロキくんが逃げようとしていたから思わずとめた。
とくに意味もないけれど、ここで一人フラフラされたら困るのだ。
仮に探しにいったとして、それが俺だったら、この場所は愚か、校舎にも寮にも戻れなくなってしまう。


「うーん。お団子、早く食べたいから、ちゃんとしてほしい。食べ物の恨み、恐いよ」

(宋壬が半ギレなう)


なんだか冷慈が生暖かい目で俺を見てきているのが気に食わなかったので、軽く足を踏んづけておいた。

ロキくんもトールさんに怒られて、やっと手伝っている。
冷慈は言わなくても率先してあれやこれやと言ってるし、うん、いい感じだ。
皆で協力しているのがよくわかる。俺は監視役だけど。


やっと準備が終わったようで、敷いたシートに皆で座る。
わー楽しい。


「皆さん、お茶を持って来ましたよ。お注ぎしますので、コップを貸してください」


神様たちが月人さんが配ったコップを差し出す。なんだか庶民じみていて、皆が神様に見えなくなってしまいそうだった。


「あ、オレはいいや。持参してる酒が……」

「お酒、だめですよ」


お酒を飲もうとしているディオニュソスさんに俺もバッとお茶を淹れてあげた。
やっぱり今日はちょっと楽しんでるようだ。


「人間こあい……」

「準備完了です」


月人さんの言葉を聞いて、アポロンさんが立ち上がった
わーいいぞ。生徒会長。
棒読みで心の中でだけそんなことを言っておく


「では、皆ここまで協力ありがとう!さぁ、満月の輝きに酔いしれよう!」

「月見が無事に開催されたことを祝して……乾杯!」


(カチンッとカップを合わせた音が鳴り響いた。月見団子を食べる準備は万端です)

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