お月見団子ロシアン
ついに、今日だ。お団子をいくら食べても怒られない日だ。
ばんざい。
「おーい宋壬、行くぞ〜」
「あ、うん」
冷慈と一緒に学校まで歩いていく。昨日から冷慈が俺の部屋に泊まっていて、色々してくれていた。しまいには団子の作り方まで教えてもらったけど、もう忘れた。
「全員注目、注目っ!今日は『月見』を実行する!月見とは、月を鑑賞する行事のこと!」
トト先生の朝のお言葉?が終わった後で、アポロンさんはそう声をあげた。それに対して冷慈が無駄に突っ込みをいれたけれど
「読んで字の如く。だな」
「冷慈、日本人しかわかんないでしょ」
「ばーか」
「双子うるせぇ!」
あぁ、今日も俺の幼馴染はうるさいので、黙ってという意味をこめてジッと見つめれば3人が「やばい」という感じで顔を背けた。
……何はともかく静かになって何よりだ
「月への感謝を込めてこれから供え物にする団子を一緒に作りたい」
「月人さん、準備と説明よろしくお願いします」
「了解です」
団子つくりの説明は月人さん担当なので、俺はただボケっとしておく。
生徒会といえど"仮"だし、手伝わなくてもいいだろう、うんポスターで勘弁してほしいのだ
「材料と道具を配りますので、こねて団子にしましょう。作った分だけ今夜食べることが出来ます。不明な点があれば俺から説明しますので、何でも聞いてください」
月人さんの配った材料と道具で、俺も作る。出来たら食べれるしいっぱい作ろう。
団子の中に何いれようかな。
「おい、宋壬余計なもん入れるなよ」
「そうだよ〜まぁ、俺は宋壬の作ったのは食べないけど」
「……。お前、何を手にもってる」
双子と冷慈が嫌そうな目で俺の手元を覗き込んできた
「……、ブルーベリーに、チョコに……んだ、これ?」
「粉砂糖……」
冷慈が摘み上げた白い粉はたぶん、粉砂糖だと俺が認識したもの。
指にちょっとつけて、冷慈が舐めた瞬間、爆発した、気がした。
「おい!!これどう食ったって粉砂糖じゃねぇ!!!!」
「えー……」
「水!水!!」
「「あっはっはっは!!」」
双子は苦しむ冷慈を見て笑っている。
そうか、これ、粉砂糖じゃないのか、じゃあなんだろう。と少し手にとって俺も舐める。
口の中がシュワシュワした。
「……うっ」
「おま、これ、重曹……っ」
「炭酸団子作る気だったんだね、宋壬」
「やっぱ、俺、お前の食えないな」
双子、ひどいなぁ。いつものことだけど。
(皆が楽しそうだ。うん、いいこと)
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