ゆったりまったり

翌日の生徒会で、草薙さんがあのススキの話をしているのを俺はうつらうつらとしながら聞いていた


「とても綺麗でした。昨日は三日月でしたが、それでも充分に照らされていて」

「それはそれはとても素敵そうな場所だ。ツキツキとトシトシの感想はどうなんだい?」


アポロンさんに呼ばれた気がしたが、俺の意識は半分夢の中だ


「数え切れないほど、川沿いに生えてました」

「…………」

「それから?」

「それ以外の感想は、草薙結衣と日白義宋壬の言葉を参考にしてください」


また、名前を呼ばれたが生憎返事をできる状態ではない。
眠い、のだ。


「アポロンさんは月人さんの言葉で説明してほしいんだと思います。それから、宋壬さんは起きてください」

「ありません」

「……ねむい」

「むぅむぅ……」


今、俺が言えることは、眠い。という意思表示、だけである。
だいたい今なんの話だったかな。


「そのススキという植物は、川沿いにたくさんあったんだね?だったら、わざわざ摘まなくても、そこで月見をやったらどうかな。自然の中で出来たらわたしはいいと思う」

「なるほど……!いいアイデアですね。宋壬さんは起きてください!」

「……おきて、る……」

「トシトシ、それは寝てる、寝ちゃってるよ……」


こっくりこっくりしながらも、一応、まだ意識はあるというのに。失礼だな、皆。
そう思って、無理やり、なんとか目をあけた。
やっぱり眠いけれど。





数日後、なんとかお月見の概要が決まったらしく、俺は地味にポスターを書き上げた。
これで一仕事終えた。達成感はとくにないけれど、草薙さんやアポロンさん、バルドルさんはそのポスターを絶賛してくれた。

流石、美術部員だね!って喜んでたけどそれぐらい冷慈でも描けそうだ。



(満月までもう少し。お団子、食べるんだ)

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