突然の事件

教室に戻って来て、また授業が始まった。
今度はトト先生ではなく、俺もよく知っている、グルーガンさんが教壇に立っていた。


「はーい、皆、授業するよ」

「グル兄!!なんでグル兄なんだよ!」

「文句言わないでよね、俺はトトに押し付けられて仕方なしに出てきてるんだ。それとも文句があるなら冷慈は廊下で正座でもしてる?」

「なっ!!」


それをはやしたてるように双子が冷慈へ「足の上に辞書4冊おいてやるよ」なんてことを言っている。
あぁ、俺の幼馴染は相変わらず騒がしい。


「……寝よう」


このままじゃ夜も起きているつもりの俺に睡眠時間がなくなると察したので、そんな騒ぎ声を片隅に俺は顔を机へ伏せた。
今日はグルーガンさんだからきっと怒られない。
グルーガンさん俺には優しいから。




案の定俺はグルーガンさんに起こされることなく、午後の授業中全部、寝れた。
流石グルーガンさん。ありがとうございます。


「盛り上がっているね、アガナ・ベレア。わたしも参加するけれど、歩きでお願い。戸塚さんも一緒にやるよね?」


どこから聞こえた楽しそうな声の中には月人さんがいた。


「義務ですか?」

「義務じゃないよ、義務ではない。ただ一緒に遊びたいだけさ」

「なら遠慮します」

「ふぇ?なぜだい?」


どうやら遊びに誘われたのを断わるようだ。
もったいない。俺も断わるだろうけど。


「遊びには興味ありません。以上です」


それだけ言うと月人さんは鞄を片手に教室から出て行った。
どこに行くんだろう。
まぁ、俺には関係のないことだけど。


「アポロンさん!私参加します!出来るだけ早く歩いて、生徒会室まで行けばいいんですね?」

「……あぁ、うん。じゃあ……行こっか」

「あ、ちょっと、待ってください」


草薙さんはアポロンさんを制止すると迷わず俺のところへやってきた。
待って、俺は、嫌だよ


「よかったら宋壬さんもご一緒にどうですか?それと、もしよければ生徒会へ参加してみませんか?卒業のためにも」

「あ、えっと……」

「それはいい!とてもいい案だね!妖精さん!!僕らと一緒に卒業を目指そう!」

「……」


(断われる、雰囲気ではなくなった)

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