中庭ランチ

月人さんを追いかけて、結局、3人でお昼を食べることになりました。
俺の手元には当然のようにお弁当が3つ。決して草薙さんと月人さんのではない。
俺のお弁当だ


「では、いただきます!」

「俺も、いただきます」

「どうぞ」


俺は特に二人に気にかけることもなく買ってきたお弁当のおかずを口に運ぶ。
中庭で食べるのも中々楽しい。


「……うんおいしい!あれ、月人さんは食べないんですか?宋壬さんは、おいしいですか?」

「……うん、おいしいよ」

「よかったです」

「えぇ、食べる必要性を感じません。俺を気にせず食べてください」

「そうですか」


まるでここも俺と真逆だ。
俺は食べなきゃ生きていけないのに。あぁ、どうりで月人さんは細いんだ。
冷慈にかかれば骨を折られるんじゃないかと思うぐらいには細い。


「…………………………」


それからは皆無言で食べていた。
草薙さんはサンドイッチを早々と食べ終わっていたみたいだけど、俺はまだ食べている。


「…………………………」


誰も喋らない空間。俺にとっては苦でもなんでもない、平和な時間。
ただひたすらにおいしいお弁当を食べているだけ。

ご飯が食べれるって、幸せだなぁ。と日々思う。


「…………………………」

「あの、まだ時間はあるので焦らずにやっていきましょう」

「…………………………」

「え……っと、俺は、焦って、ないよ……」


いきなり草薙さんがそういうことを言うからうっかり本心を言葉にだしてしまった。
現状を聞いても俺は焦ってはいない。むしろ、まぁ、なるようになるとしか思っていないのだ


「それは、あの、それはそれでどうかな、と思いますけど……お二人なら大丈夫です。とても真面目ですし……」

「…………………………」

「それに……」


草薙さんが一生懸命話しているのは聞こえてはいる。俺はお弁当を食べているけど。
月人さんからは寝息が聞こえている。


「……すぅ……すぅ…………すぅ……」

「ちょ、ちょっと!起きてください、月人さん。話聞いてください!宋壬さん!」

「ん?なんですか?時間になりましたか」

「聞いてる……ご飯おいしい」

「宋壬さんは聞いてなかったですよね……。そうではなく……私が話していたこと聞いていました?」

「いいえ」


(ハッキリ言っちゃうなぁ……あ、からあげ、おいしい)

「任務と関係のないときは出来る限り体力を温存するため睡眠をとるようにしています」

「あぁ、なるほど」

「なるほどじゃないですよ……」


月人さんの言っていることも一理わかる。俺は夜中に活動するために昼間寝ているのだから。

草薙さんがまた困っていると、タイミングがいいのか悪いのか、昼休み終了を告げるチャイムが鳴り響いた。
ちなみにお弁当は3つとももう俺の胃の中だ。ご馳走様でした。


「時間ですね。教室に戻りましょう。それでは」


スッと立ち上がって俺達をおいて月人さんが歩いていくから、草薙さんもまた後を追いかける


「待ってください」


(うーん、俺も行かなきゃ。冷慈に怒られちゃうかな)

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