めぐる四季が好き

朝、起きてみたら何故か肌寒かった。
窓から外を見れば木々が赤や黄色、緑に色づいていてとても綺麗だ


「……秋だ」


つい昨日まで春だったのに。そういえば春といえば冷慈の誕生日だ。
あの顔で春生まれ。まぁ根が優しいからわからなくもないけれど。


「……秋も、綺麗だな。落ち葉、集めて焼き芋したいな」


呑気にそんなことを言いながら今日もまた、制服に腕を通す。
まだ、ここで俺を満たしてくれそうなものに出会えていないから今日も休まない。
俺が休まないことに幼馴染3人は驚いてるらしいけれど、俺だってまぁ、やれないわけではない、らしい。


制服のポケットにお菓子をいくつか入れて、生徒手帳をもって、寮を出る。
丁度寝坊したかのように慌ててる冷慈に出くわした


「あ!宋壬!」

「冷慈……どうしたの」

「どうしたって遅刻しそうなんだよ!もう時間ねぇだろ!」

「えー……時間、見てなかったな……」

「はぁ……おい、走るぞ!」

「えー……」


不良のような見た目で遅刻だ遅刻だと慌てている幼馴染に引きずられながら俺はポケットにいれたお菓子を取り出して食べていた


教室になんとかたどり着くと冷慈は俺を放してぐったりと地面へ突っ伏したので、俺はさりげなくその背中に座っておいた

すると、月人さんが生徒手帳を片手に俺たちのほうへと歩いてきた


「??」

「おはようございます。トト・カドゥケウスの命により、生徒の風紀を取り締まっています」

「風紀、ですか?」


その言葉を聴いた瞬間冷慈が飛び起きたせいで俺は後ろへとひっくり返った
痛い


「お、おおお俺はなんももってねぇぞ!!」

「それは見ればわかります」

「違反もしてねぇ!」

「それは今から確認します」


冷慈が違反をしていないか一個一個、確認をしていく月人さん。
とうの冷慈は何か悪いことでもしたかのように冷や汗をかいているように見える


「君は合格です。席についてください」

「あぁ……よかった、マジでよかった……」


あぁ、そうか。あんな見た目のくせに勉強とかは真面目な方なんだった。
幼馴染の中でも成績は一番よかったはずだし。


「日白義宋壬。君は余分な飲食物を持ち込んでいます」

「あ、はい……」

「没収します」

「あ……」


トト先生に言われたということで風紀として取り締まりをうけたおかげで俺のポケットはスッカラカンだ。
お菓子、朝に少し食べといてよかった。


「他は違反はないようです。席へどうぞ」

「……はい」

「作業完了です」


どうやら俺と冷慈が最後だったようで、確認を終えた月人さんが席に戻るとその直後にトト先生が教室へ入ってきた


「貴様ら、席に着け。授業を始めてやろう」


そして今日も授業時間、俺は寝るという選択肢を選ぶ。


(秋も日差しがあったかくて、いい気持ちだ)

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