美術部員の放課後

次の日から、部活をするということで、俺はどうしようかと悩んでいた。何を書けばいいんだろう。

それより何よりも、俺は昼間によく寝て夜に活動をするという昼夜逆転生活になれてしまっていて、そのくせで授業は最初だけ起きていてももう途中からほぼ寝ている状態で
トト先生ももう諦めたようで何も言わないから尚更だった


(書くものがない、なぁ……)

ここには綺麗な自然がたくさんあるけどありすぎてどこから書けばいいのかも分からない
寝かけながら、購買で買ったパンをかじる

(お腹、すいた……眠い……)


「あ、あの……」

「……?」


頭上から声がして、顔をあげれば(確か)草薙さんと月人さんがいた


「食べながら寝ると危ないですよ?」

「食べてから寝ると牛になるという記述があったので、寝て、起きてから食べることをお勧めします」

「あ……はい。ありがとう、ございます」


いいことを教えてもらったなぁと思いながらパンは少し我慢して先に寝ることにした
今から放課後まであと一時間も授業があるから寝てよう

そういえば、月人さんとあの夜以来に喋ったなぁと思いだす
寝るはずがあのときのことを思い出していた

(月を眺めるのが義務だって言ってたな……綺麗、だったな)


そうだ、あの、姿を絵にしようかな……
義務を全うするって凄いことだと俺は思う
それが自分が生きるすべなら尚更に


いつの間にか寝てしまって、気づけば日が傾いていて、目の前にはただ黙々と本を読んでいる月人さんだけがいた


「……おはよう、ございます」

「おはようございます」

「えっと……」

「……起きるのを待っていました」


俺が言いたいことを理解してくれたのか、どうしてそこにいるのかを教えてくれた
それにしてもなんで待ってたんだろうか、いつ起きるかもわからないのに


「あの……なんで、待っててくれたんですか」

「……草薙結衣に頼まれました」

「あ、草薙さんに……。そうですか」


それがわかっても俺は別になんとも思わなかった
大変だなぁこの人も。それぐらいの認識


「……今日も夜は月を眺めるんですか?」

「?……はい、それが俺の義務ですので」

「……俺も、混ぜてください。夜、寝れないので」

「……わかりました」


これで夜、絵が描けるな。と思った
いつもは風景画ばっかりだけど、月人さんは綺麗だから、描いてみたい
理由なんて本当にそれぐらいだった


(夜までの時間、寮で寝てよう)

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