落としもの

時は正に世紀末。
そんなわけはないけれど。


「……箱庭、かぁ。神様とか言われてもなー」


うーん。と首をかしげながら暗い青色のスカジャンを着た金髪のリーゼントの高身長がフラフラと歩いている。


「……ん?」

「ッ……キャー!」

「!?!?」


桜の木の下からこっちをじっと見ていたらしい自分よりもずっと小さい少女は、ルアを見た瞬間に逃げ出した。

これじゃあまるで俺がいじめたみたいな……と思いながらもその桜の木の下に向かう。


(俺も金髪だけど、さっきの子、綺麗な金髪だったな)


「ん?」


足元にふと視線を下げると白い布が一枚ふわりと落ちていた


「……ハンカチか、返そうにも、今俺絶対逃げられたよな」


困惑したままとりあえずそのハンカチを片手に教室へと足を進める。
どの子かわからなかったということは同じクラスではなさそうだ。


(仮面のにーちゃんにでも聞いてみるかなー)


隣のクラスは不登校が2人ほどいるとかいないとか聞いたしそのうちのどっちかだったのかもしれない。と思いながら歩みを進める。


「あー……彼女ほしー……」


晴天の空を見ながら無理であろう言葉を呟いて、ルアは笑った


「……っしゃ!彼女作るぞー!おー!」






「……れーじたんれーじたん」

「……聞かなかったことにしてやれ、あの人はそういう人だ」

「どんな子がいいかなぁ?」

「紹介しようとしなくていいんだよ!」

「えー、れーじたんこっわぁい」


(まさか聞かれていたとは想像もしていませんでした、かっこわらい)

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