所変わった【エンドロール】





「……どこだ、ここ……」


真っ暗闇の舞台上に突如放り出されたのは、【彼等】の探している【人物達】
それぞれがよくわからないゴシックに包まれたような服に身を包んでいる。


「ちょっと、なんだこれ!!」

「やっべぇすげくね!?」


麗菜にルアがその衣装に驚きながら、確認をするように触っている。
そして、服のポケットは裾を虱潰しにあさくっていた冷慈が何かを、執事服の胸ポケットから引き出した


「……【終幕】?」


【終幕】と書かれた封筒は、他の6人の服のどこかしらにもまぎれていて、それぞれが、その封筒を、開こうとした、その瞬間、真っ暗だったはずの、舞台にスポットライトが灯った。

【観客】は、どこか見たことのあるような、知らない【誰か】が【7人】


「……」


演技を待っているといわんばかりに、【7人】は待っている。


「……どういう……ことだよ……」


冷慈が舞台上で執事服にその手紙を握ったまま、そうボヤけば、観客席にいた、スモークグレーの髪をした青年が、一人、立ち上がって壇上へと駆け上ってくる

どこかで、見ていたような、その綺麗なグリーンの瞳が至近距離で冷慈を捕らえていた


『【冷慈くん】元気そうだね?待ってたんだよ。【帰ってくる】のを』

「は……?」

『だって、君達は僕等のことを【愛してた】でしょ?』

「ちょっと、待て……誰、アンタ……」

『僕はね、【釣人】だよ。あっこの笑顔のが【祢音】その隣の恐いのが【壊】金髪と茶髪の女の子が【洸】と【樹】。そっちの双子の男の子は【眠杜】と【此杜】』


その名前に当然聞き覚えなどなく、誰一人として、納得した表情はできない。
そんな冷慈達に追い討ちをかけるかのように、【釣人】と名を言った青年は、【真実】をあっさりと告げる。


『僕等の前から、一度死んだはずの【君達】がまた、道を【間違った】っていうから、チャンスだって、思ったんだよね』

「……」


その場で固まった冷慈の手からするりとあの【終幕】の封筒が落ちる。
それを、駄目でしょ。と言いながら青年は拾い上げ、また差し出した。


『こことはまた違う場所で、【君達】の世界の【僕等】が【此処】の世界の【君達】と【真実】を探してるんだ』

「ちょ、ちょっと、待ってくれるかな。その言い方じゃあ、まるで此処は……」


パラレルワールドじゃないかというグルーガンの言葉は発せられる間もなく、凛とした綺麗な声に遮られた


『残念だ。【此処】は【誰か】の【夢の中の表舞台】。パラレルなんて安っぽいところではない』

『そうだよ!【私達】は、【正義の味方】なんだ!』

「表、舞台だと?」


ならば、裏もあるのか。と柊は推測をし、めんどくさそうに、その封筒を開き、中から紙を取り出す。


「……っ!?」


そこに書かれていた【終幕】とは。


「なんだ!どういうことだ!【本物】と【偽者】を摩り替えろ……だと!?」

「っ!ちょ、俺も見てない!」


柊のその驚いた声に全員がその封を切り、中を確認する。
どうやら麗菜、ルア、美月と柊、グルーガン、冷慈、宋壬で、書かれている内容が違うらしい。


「おい、お前等3人は……」

「「「はぁ!?」」」


柊が3人の内容を確認しようと声をかけた瞬間、その3人は青ざめた顔で声を上げた。



「おかしいだろ!だって俺、【生きてる】よ!」

「確かにおれも痛覚ニブチンだけどさぁ……まだ【死んで】ないよ、な?」

「……ま、まじかよ……」


4人でその内容を覗きこむ。


【棺の中に眠るはずだったのはあなた】


と書かれた、それが3人への【終幕】



「……死ねってことね。つまり」


冷静になった美月がそう呟いてニタリと笑う


「上等だぜ。元人間の底力、見せてやろーじゃん」


(チグハグに分かれたこの世界を戻すのが【君等】の理由)


(さぁ、【君】も思い出して。【此処】へ迷い込んだ、きっかけは、何?)


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