see you again

卒業式も終わっていよいよ自分たちの行くべき場所、帰る場所へと戻る時間になった


「「……」」

「ちょっとォ、二人ともいつまでそうしてんのサ〜」

「……ロキ」


卒業式が終わってから、私とディディだけが特に喋ることも無く、別れの扉の前まで来てしまっていた

それを気にかけてくれたのかロキが声をかけてくれてるが何を今更話せばいいというのか
とりあえず、別れの挨拶ぐらいは……と意気込んで声をかけてみることにした


「……ディデ……」

「……」


無言で抱きつかれ……抱きしめられてとりあえず思考が停止した
こいつは別れの挨拶もさせてくれないんだろうか


「ちょっと、こら」

「……、またね?麗菜ちゃん」

「……はは、うん、またね、ディディ」


震えた声が聞えて思わず笑みを浮かべてしまった
絶対のサヨナラじゃないから、そのうちあえるはずだから、またね。なんだろう
それともただの気休めか。どちらにせよ、優しいディディらしい言葉だと思った


「次、会えたら(仮)っての外してあげるよ」

「……言ったね?約束だよ」


そうして私は、両親と同じ道を辿ることにした
次、もしも、どこかで会えたなら、その時にまだお互いこの感情なら、今度は、素直に答えてあげるよ

『ずっと好きだよ』って


「そんじゃ、帰るわ!」

「……待って、最後に、さ」


スッとディディの顔が首筋に落ちてきて、ドキッとした
その瞬間にチクッと甘い痛みが走った


「っ……ひっ……」

「可愛い……麗菜」

「!!う、うるさい……!!帰る!!」


「うん、またね」


やたら笑顔なのと、あの地味な痛みからして、どうせキスマークでもつけてご満悦なんだろう
さっき言った約束を取り消してやりたくなるほどムカつくいい笑顔だった


「……!」


最後の最後で振り向いたとき、やっぱり切なげな顔をしていて、ちょっとだけ最後の最後に罪悪感を抱いた
どんだけ想われてるんだ私は。


「ありがとう、ディディ」



(そして私は神だということを隠しながら元の生活に戻る)

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