笑って笑うの

「で、音楽室で何するの〜?」

「え、音楽室っていったらコレでしょ?」


取り出したのは山になっているあの楽譜だった
とりあえず、もっと音楽の勉強がしたい
歌唱といっても、基礎だってもっと奥深いはずだ

そう思ってとりあえず片っ端から発声練習ついでに歌っていこうかなんて思っていた


「……ねぇ、麗菜ちゃん」

「ん?」


その低く切なげな声に思わず振り返ったすぐ先にディディがいた
一瞬で重なった唇に思わず殴りそうになればその手すら捕まれて逃げ道がなくなっていた


「え、ちょ、ちょい待って……!何!?」

「……帰っちゃうんでしょ?知ってるよ」

「……は、なんで……」


知ってるのかという問いはまた口を塞がれてしまったせいでかき消された
こいつ、あとで吹っ飛ばす


「っ……ちょ、ほんっと、ま……」

「……」


羞恥からやめろと言おうとしたら、そいつが辛そうな複雑そうな顔をしてたから、何もいえなくなった


「……なんで、オレに相談もなしなの?」

「……。あ、いや、ご、ごめんそこまで、思いつめられると思ってなかった」

「いやいや、普通悩むでしょ」

「……そうなの?」

「……ははっ、ほんと、変なところ欠けてるよね、麗菜ちゃんって」


なんだか笑われてしまった。へんなところかけてるだろうか?
……確かに普通の子なら、恋人がいくら仮であろうとも好きな人と離れると言うのは嫌だろう


「……これが、私だからな!大丈夫だろ〜。私なんかで縛っていい奴じゃないよディディはさ」


きっとこれからの人生でもっといい人がいるから
私で縛るなんてそんなことはもったいない


「……オレは、麗菜ちゃんと一緒にいたい」

「……。ディディにはディディにしかできないことがあるでしょ。だから」

「麗菜ちゃんといること」

「……」

「オレにしかできないでしょ?麗菜ちゃん、じゃじゃ馬なんだから」


なんだか失礼なことを言われた気がする。誰がじゃじゃ馬だ酔いどれのくせに酔いどれのくせに

少し熱くなった顔を見せないように反対側を向いておく
いくら甘い言葉を言われようとも、一度決めてしまったなら、貫き通したい


「……よし!ほしい楽譜だけもらって帰ろうかな」

「……。やっぱり、麗菜ちゃんはオレじゃ捕まえられないなぁ」

「へ?」

「あはは、こっちの話だよ」


(できるなら一緒にいたいんだけど、それを良しとしないんじゃ仕方ないかなぁ)

[ 51/68 ]

[*prev] [next#]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -