学び舎だった
「お前達には、神、そして愛を学んでもらう」
「「「はーい」」」
「……あ、はい」
俺と美月とルア、最後に兄さんがお利口よろしく素直に返事をする
正直に言うと、もうこれ以上追求するのが面倒になったので全員が流れに身を任せることにしただけなのだが
「学園にいる間神化することを原則禁止とする。そのピアスは枷となり、お前達についた能力を抑える働きがある。枷が外れれば卒業資格を得たということにもなる。故にしっかりと学ぶように」
「はーい、先生。なんで神様になるのは禁止なんですかー?」
美月が疑問をゼウスのおっさん……学園長にぶつける
その横でルアはもうウズウズと目を輝かせていた
おい、あれだな、ルールは破るためにある!とか思ってんな?早く禁止事項をしたいんだな?
これだからヤンキーは
「お前達が暴走でもすればこの箱庭はもたん。ただでさえ、お前達の感情は連鎖しているのだ。一人が暴れだせばそれに続くように4人とも……そうなればこの箱庭は潰れてしまう」
「ほー。わかりましたー」
「では、今から人間の姿へと戻すがくれぐれも、暴走をしないよう、注意を払え。いいな?」
「「「「はーい」」」」
これだけ威厳のあるおっさんを前にしても、動揺もせずに話されたことを受け入れて素直に返事をしている俺達は相変わらず頭のネジが足りてないらしい
客観視してみたら絶対そうにしか見えないだろう
おっさんが杖を振れば気づいたときにはいつもと同じ普通の俺の出来上がりだった
「……話は以上だ。雷神に寮への誘導をさせよう」
「おぉ!雷神!」
よく聞く神様の名前に地味にテンションが上がったというのにそこに入ってきた人物に俺達の口が大きく開いた
「……なんだ、お前らか」
「「「柊さん!!」」」
「あ、こんにちは」
兄さんだけが何食わぬ顔でいつもどおり挨拶をしている。
あ、あれ?柊さん、俺の叔父さんだよね?
「……俺は元々雷神だ」
「ま、まぁ……聞きました?奥さん」
「え、えぇ……聞きましたわ」
美月と動揺のあまりかコントのようなやり取りをして未だに整理のつかなくなった頭をフル回転させながら、とりあえず柊さんについていった
寮までの道のりの中で俺達の弟たちも来ていること、他にも厄介な神様がいることこの学園のちゃんとした趣旨から全部を聞いて、4人で神秘だなーなんて言いながら歩く
その途中、ふと目についたのはグラウンドで遊んでいるようにも見える弟達と知らない男共
それと……
「あ、可愛い女子」
「どこ!」
「あっこ」
俺が指差した先には濃い紫色の髪をした真面目そうで可愛い女子が一人いた
ルアはそれだけでテンションが上がったらしくグラウンドのほうへと走り出した
柊さんは溜息をついてそのあとを仕方なしに追う
「あーずるい!俺もー!」
「え、ちょ、ちょーい!待った待った!」
「え、皆速い……」
美月も駆け足で走っていくのを慌てて兄さんと追いかけていく
当然騒ぎながらグラウンドに向かっているんだから、注目の的なわけで
弟達の驚きの声が聞こえている、あぁうんごめんよ弟
「よぉー!転校生だぜ俺たち!」
「そうだぞー」
ルアと美月がえっへんと言わんばかりに胸をはっている
何がしたいんだコラ
あきれ返っていると、赤紫のような葡萄みたいな髪色をした奴が俺の前に来ていた
(……んだ、このチャラそうなの……)
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