あっさりサヨナラ

「私、帰る!!」


あっさりと自分の中で答えが出ていたから、珍しく、ハッキリと伝えることにした


「お、いい目するようになりやがったな、馬鹿娘」

「まったくよ。もっとはやく気づきなさい。それはともかく、彼氏はいいの?」


どこで情報を入手していたのか、お母さんのその言葉に思わず吹き出した
彼氏じゃありません彼氏(仮)です
ここ結構重要ですよー皆さーんテストに出ますからねー!


「彼氏じゃないし!(仮)です!つうか、帰ったら、したいこともあるしね!!」

「お、麗菜がやる気だ」

「え?誰を!?」

「……ルアだ」

「え、え!?」

「……みづ、兄さん、殺す方の殺るって意味じゃないと思うけどルアが言ってるの」

「「「……あ、そういうことか」」」

「おい、お前等」


馬鹿だな、俺の幼馴染はなんて思いながら爆笑してやった思う存分。
それから、3人もなにやらしたいことがあるらしく、一緒に帰るということで話が決まって、今は学園長室から出てきたところだ


「あ、いたいたー。おーい、麗菜ちゃん」

「ほーら彼氏がお呼びだぞ」

「みづ、だから……」

「……早く、行ってあげなよ」

「時間ねぇから最後の青春しとけよー」

「お前ら!これが俺の最後の恋にでもなると思ってんのか!?」

「「「うん」」」

「殺す」


酷いことを言われつつも、なぜか迎えにきていたらしいディディのところに行く
確かに卒業までしか時間はないわけだが、だからといって今までのこの関係を崩そうとも思わないしこのままで充分だと思ってる


「さーて、これからいつものところに行く?」

「あ、いや、今日は行きたいところがあってさー」

「?珍しいねぇ?音楽室?」

「当たり」


へらっと笑いながら足取り軽くディディを追抜かして軽くスキップ状態で音楽室まで行く
後ろでなんか言ってるがそれは聞えてない振りをしておこう

最後の最後まで振り回しといてあげよう。せっかく不憫なんだし


「……戻ったら、勉強しなおしかな」


(小さく呟いたその声はディオニュソスには届いていなかった)

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