四神と創作神



「な、何、ここ……」


虎につれてこられたのはなんだか人間離れした建物というか中世的な造りの建物の、威厳溢れる扉の前だった
この戸を開けろと言わんばかりにその虎は戸を押す


「あ、開ければいいのな……」


ゆっくりその扉をあければ、半分蛇のような顔をしたリーゼント野朗が飛び込んできた


「麗菜ー!遅かったな!」

「ぎゃっあああああああああ!!!!!……ってルアか!?お前、ど、どうしたんだその……厨二病の顔」


それが家族同然の幼馴染だと声で把握をした。あぁ、そういえばルア元々リーゼントなんだわ。あまりに顔が変わってて気づかなかった


「いやぁそれがさ、なんか俺ってば青龍神になることになってまして」

「……?何言ってんの、頭沸いたの?お前」


はぁ?と俺が首を傾げれば後ろで虎も一緒に首をかしげている
あれ、ちょっと可愛いじゃないか


「まぁあのおっさんの話聞いてみって!」


よくわからない容姿になっているルアに背を押され前へ前へと進んでいく
そこには赤い髪に赤い目をした(雰囲気的に)美月と美しさに磨きのかかった金髪白目の兄さんがいた

その2人の後ろ、なんだかお偉いさまが座るような椅子に腰掛けているおじさん
いや、おじさまという表現があってるだろうか


「っ……!」

「な!?お前の好きそうな人!」


驚きを隠せない俺にルアがいつもの調子で話しかけてくる
い、いや確かに好きな類の人物ではある。なんというか、素敵なおっさんである。大好きだ。えぇ実に好みです


「……踏んでください!!!!!」


ぱああっと輝いたように俺が喜んでいるのを見て3人はやっぱりこうなったかーとケラケラと笑っている
黙れよお前ら。こんな理想を絵に描いた人に会えるとは!ジャスティス!萌えだね!と内心でワクテカというやつを抑えきれずにいた
そして初対面で口にした言葉がこれである


「……。貴様をここに呼んだのは他でもない、このワシだ」

「え、あ、はいっす」


あら残念。スルースキルを発動されてしまったようだ


「ワシの名はゼウス。ギリシャ神話の天を司る神だ」

「……へ?」

「そこのお前の友人、3人の容姿が違うのもそういうことだ」

「え、えっと、もっとこう、詳しくといいますか……馬鹿でも分かるように説明を……」


急に本題に入られたことに混乱をし、内容にまた混乱をした。つまりパニックTHE againなのだ

少しかっこよく言ってみた。いやそういう問題ではないがそういう問題なのだよ諸君


「中国神話の青龍、朱雀、玄武、百虎。名前ぐらいは知っているであろう」

「……」


あまりに真剣な恐い雰囲気に思わず飲み込まれて、黙ったまま頷く
さっき夢かと思ってしまうぐらいにはその4匹に出会った
虎はまだ俺の後ろにいるけども


「彼奴らはその獣に選ばれし四神なのだ。もちろんその中の一人がお前、ということになるがな」

「…………ふむ……」

「彼奴らはもう既に神としての姿になってもらっておる。獣の力を借りてな」

「……おや、それは大変だ」


もう次元がふっとんだ話しすぎて俺のキャパがついていけなくなったようで、口から出てくる言葉はふっざけたようにしか聞えない言葉だらけだった
ゼウスといったおっさんはそんなことも気に留めずに、口を休めずに話している


「さぁ、最後はお前だ満田麗菜よ」


おっさんが杖をバッと振れば、眩しいほどに目の前が光って、目を開けてられなくなった
途端に体が針で刺されたように地味に痛くなる


「……ったた……いきなりなんだよ……」

「おぉー!女子だ!満田が!」

「なんだ!?失礼だな!」


美月から歓喜の声がしてキッとそっちを向けば、横で兄さんが鏡をかまえていて、俺の現状が映し出された

白い髪に、ふたつの団子頭。黄色い目。割と色味の抜けた肌
に、チャイナ服のようなもの


「!?うぎゃぁ!」


思わず自分の顔を縦やら横に伸ばして確認をするも痛いだけで元には戻らなかった
酷い話だ、なんだこれは。


「あ、あれ……虎は……」

「今はお前のそのピアスとなっておる。必要となれば念じれば、すぐに出てくるぞ」

「いや……うん、そうですか……」

(もうこれは流れに身を任せるしかなさそうだ)





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