悪化した邪気


「これは……」

「な、何これ……!すっげー厨二っぽい!!」

「満田……お前、そこなの?」


次の日、登校してきたときにはあの子のいる森から校舎の半分までが見事に黒くなっていた。
なんというか黒フィルターをしたような。
あぁなんたる厨二感

いや、そんなことを思っている場合ではなかった


『1-A生徒へ告ぐ。至急、学園長室へ来い』


これはまずいと思ったときナイスタイミングで校内放送が流れた
クラスメイト全員で、急ぎ足で学園長室へと向かう



「ゼウス!あれは一体どういうことだ!」

「……落ち着かんか。ハデス。そのことについて呼び出したのだ」


ゼウスさんがそう苦虫を噛み潰した表情で言ったその後ろに、俺にとって恐怖の対象の人物が二人、立っていた。
もちろん、好きではある。なんだかんだ面白いのだ。ただ……
怒鳴り声だけが脳内で再生される


「あの事態については彼奴らが説明をしてくれる。心して聞くように」

「!?父さん!?母さんまで!?」

「は!?冷慈さんの……!?」


「え、つまりー……麗菜ちゃんの……」


ディディがギョっとした顔でこっちを見ている。
あぁそう。そうなんだよ。

俺の、俺の、大好きで大嫌いな人。


「あら久しぶりじゃない。バカどもが元気そうね」

「おーおー。お前等厄介ごとに巻き込まれやすいな」

「……。何のようだ、天。女禍」


俺と冷慈の両親。父親の方は、柊さんの兄でもある
まさか、こんなところにいるなんて。それに今、柊さんはお父さんとお母さんのことを知らない名前で呼んだ


「……嘘……。神様?」

「察しがいいな。バカ麗菜。さ、時間もねぇから本題にいくぞー。おー!」

「さっさと喋んなさいよ、刺すわよ」

「あ、すいませんDVはやめてください。天様か弱いです」


いつも聞いていた夫婦漫才のようなやりとりを聞いて、横でルアやみづ、兄さんが「あぁ……本物だ」なんてことを言っている
俺はいまだ上手く理解できない脳内で、ただその場に立ち尽くしてる。
冷慈もいまだ困惑しているようで呆然と二人を見ていた


「この黒いやつは邪気だ。ちなみにこん中に、邪気を出してる奴がいるからこうなってんだぞ」


(そう言って、嘲笑うようにお父さんは俺を指差していた)

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