放課後の偽り

「んふふーん」

「麗菜ちゃんご機嫌だね〜」

「ビニールハウスin theディディ!」

「……なんか犬扱いされた気がする」


放課後になると最近は自分の部活動そっちのけで、ディディとビニールハウスに行っている
俺も葡萄栽培をしだしたのです。
当然、大半はディディに任せてあるけども


「おー!ちょっと伸びた!よーしよーしイイ子だねー!そのままデッカくなれよ!目指せ人食い葡萄ならぬ神食い葡萄!」

「!?今サラっと恐いこと言った!?」

「嘘だって、そんぐらいデッカくなってくれよって意味で」


デッカくなったら一個でジャム大量生産!わーい!なんて思いながら水やりをして、ちょいちょいと苗をつつく
あぁ可愛いまじ可愛い。俺の葡萄ちゃんな


「そういえばさ、麗菜ちゃん最近こっちばっかりだけど、歌唱部はいいの〜?」

「あ〜……だってさ、日常が活動だよ〜」

「え、そうなの?」

「そうでしょ!歌ってれば歌唱なんだから!」

「あぁ、そっか……」


まぁそんなのただの屁理屈なのかもしれないけど
でも、もう音楽室に一人で行こうとは思えなくて。
……しかし、そろそろちゃんとしないとダメかな。


「うーん……」

「ん?どうかした?」

「あ、いや歌唱部っつったって、部室で歌うだけだしなー。って思って」


最近は割りとあっさりと悩んだらディディに打ち明けれるようになっていた
前なら、考え事。って言って一人でグデグデと本当に考えていただけなのに

コイツの存在ってホントいつの間にやらデカくなってる気がする


「あー……そうだよねー。発表する場でもあればいいんだろうけど〜」

「目標になるしね〜」

「そうそう〜」


このスローペースな会話にも慣れてしまった。
というかディディの口調が地味に移ってきているような気さえする
末期だ。末期。


「あーくそー。初っ端から園芸部にしとけばよかったー」

「今から変えれないの?」

「変えれないんじゃない〜」

「あららぁ……」


水やりという一大任務も終わって、夕暮れの中を二人で寮まで歩いて帰る
その途中、何を言っているかまでは聞き取れなかったけど、どこかから、鼻歌のようなものが聞えた


「誰か、なんか歌ってんね」

「そうだね〜。麗菜ちゃんみたいな人いるんだね〜」

「ね〜」


(どうして俺も気づかなかったんだろう。この声の正体に)

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