気づいたらすぐそこ


「麗菜さん、最近楽しそうですね、よかったです」

「そう?結衣ちゃんが可愛いから楽しいのさー」


今じゃすっかり前の調子に戻っていて、よく結衣ちゃんを口説きに行っている。
よし、これで草薙ちゃんのハートも俺のもの☆
そんなノリ。

ちなみに今は二人でトト様に頼まれた分厚い本を半分ずつ分けて持ち、図書室へ向かっている。
なにやら、これを今日中に運んでおけとのご命令だ


「可愛い妹よ、腕は疲れないかね」

「少し……疲れましたけど、大丈夫です」

「さぁさぁ!遠慮せずお姉さんのほうへ載せな!へいシスター!」

「え、で、でも……」


前は、なんでもかんでもどうせこうしてほしいんだろ?なんて思いながらしてたけど、最近は普通にこういった行動ができるようになってきている。
少なからず多少は吹っ切れたということだろう


「ほらほらー!載せないと怒るよー!」

「麗菜ちゃん、オレが怒るよ……?」

「ひっ!!あー!!ほら!お前が驚かすから本全部落ちたじゃん!」


いきなり後ろから、低い声で言われて、思わず飛び上がったはずみに持っていた本を全部落としてしまった
だいたい、ディディは心配のしすぎだと思う。もう無理してやっているわけじゃないのに


「よいしょっと……貸して。オレも手伝うよ」

「あー!俺がかっこよくなろうとしたというのに!」

「はいはい。行くよー麗菜ちゃん。草薙さんも、オレのほうに乗せなよ〜重いっしょ」

「え、でも……」

「ほらほら、オレ男の子だからねー」


軽々と本の束をもって歩き出すディディを見て、思わず結衣ちゃんと顔を見合わせる
そのまま、俺が吹き出してしまったんだけど


「あっはっはっは、カッコつけてるなー。ディディ。可愛い子ちゃんの前だからってー」

「え?」

「え?」

「あれは、なんというか……麗菜さんがいたから、じゃないかと……」

「いやいや、誰でもあーすると思うよ。ディディは」


いまだになんだかツボったのでケラケラと笑いながら残った数冊を結衣ちゃんと運ぶ。
いやー助かった助かった
やっと落ち着いた頃、視線を感じて、横を見れば結衣ちゃんが俺の方をじっと見てた


「何ー?惚れそう?いい男でしょ俺」

「はい。可愛いです」

「そうでしょー……はい?」


なんだか聞きなれないというか言われなれない言葉が俺の耳に飛び込んできた。
いつもそんな可愛いなんて言葉は吐く方がメインだったから、言われると異常な違和感を覚える


「今の麗菜さん、とっても可愛かったです。ディオニュソスさんのことそんなに好きなんですね」

「いやいや、冗談はダメさー。可愛いくなから!断じて!俺は男前なのよ!?」

「ふふふ、じゃあそういうことにしておきます」

「ちょ、こらこら」


結衣ちゃんがふふふと嬉しそうに笑ったから、まぁ色々誤解してくれてるようだけど、これはこれでよしということにしておいてあげよう。


[ 31/68 ]

[*prev] [next#]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -