どーも、ありがとう

「んじゃ、今日はおしまいなー」


次の日、自分でそう言って気づく
ジャケットを返すどころかもう一日が終わりますけど!

また不良を先頭にゾロゾロと帰っていく
当然、目当ての人物も先頭のほうにいるわけで未だ教室にいる俺には声のかけようがないというか、なんというか


「……まじか」

「?満田?どした?」


俺の呟きを聞いていたのか横でみづが不思議そうに聞いてくる。
だがしかし!ここでしれっと相談をするわけにもいかないんだ
プライド的な問題で


「いや、大丈夫。今日は俺ももう帰るし……」

「そ。じゃ、一緒帰るべ」

「あー、うん」


チラっと先頭のほうを見れば、葡萄頭が多少見える
いや、まぁ楽しそうだし、今持って行ってもね!?
なんか意味深になりそうだしね!?


「……おーい?」

「へ!?あ、はいぃ!」

「……満田?何をそんなに見て……」

「みーちゃん、麗菜ちゃんが、女子だ」

「そうだねぇ兄さん!応援してあげないと!」

「い、いやいや!ちょっと待てこら!」


どうやら兄さんとみづに勘違いをされてしまったようだ
oh……ジーザス!!!!!
これ(ジャケット)返すだけなのに!
これ以上この場にいるときっと余計からかわれるし、これを返すだけで何をそんなに戸惑う必要がある!
それにしれっと渡してくれば、ほら、勘違いですよ!って言えるし!

と、ジャケットをいれた紙袋を片手に、一人ズケズケとディディのところまで行く

ちなみにディディの横はロキとアポロンという中々のコンビだ
畜生。渡しにくい

い、いやここで動揺しうてると余計にダメだ

こう、いつも通りいつも通りに
そう、前してたみたいに転がす感じで


「……ちょ、ちょいちょいお兄さん」

「!?え、俺?」

「そうそう、あははは、そんなに驚かないでくれ頼むから!!」


最初からしくじった。確かにおふざけはよくしてるけど、こいつのこと俺、お兄さんなんてふざけてでも言ったことねぇよ!
案の定、言われた本人も驚いて振り返ってきていたんだから

必死に驚くなよ!と言ってみるものの、もう四方八方からの視線が突き刺さっている


「視線が、痛い!!」

「そ、それを俺に言われてもねぇ〜……」

「なんだ、なんだよ!お前等のその生優しい目は!違うからな!と、とりあえずかなり不本意だけど借りてたブツを返すだけで……!どーも、ありがとう!!」


バシィツと紙袋ごと投げつけてお礼の言葉も吐き捨ててしまった
いや、あれはほら、周りが悪いでしょ。俺、悪くない

完全にお礼をいう、というか借りてたものを返すような態度ではなくなってしまった
あぁ墓穴掘ったよきっと!
いや、何もないんだから墓穴でもないか


「えー、ちょっとなにー?二人とも何があったのォ〜?」

「……ロキ」

「いーじゃーん、ね、教えてよォ」

「だまらっしゃい!哀詞!こいつ引きずり出せ!」

「え、なんで俺なんだよ」


ロキのニヤニヤとした表情が無性に腹立だしい
なんだよ、その顔はさ
いや、ロキだけじゃないんだけども。アポロンはいまだちょっと驚いてる顔だけど
バルドルはなんか微笑んでるし
黙れイケメン微笑むんじゃない

後ろからはみづとかルアとかが絶対ニヤニヤしているし兄さんがこっちをガン見してるのを分かってるから、どうしようもない


「帰る!俺は先に帰る!」

「え、ちょっと!待った待った!」


ディディとアポロンの間を割って早歩きで逃げるように歩き出したのに、あっさりとディディに捕まってしまった


「やめろぉおああ!!セクハラだぁあ!!」

「そんなの気にしないでしょ、麗菜ちゃん」

「やーめーろー!帰るんだからな俺!」

「うん、だから、一緒に……」

「だまらっしゃい!!」

「あだっ!!」


ゴッと石頭を生かしてディディに頭突きをすれば、ディディが痛さに頭を抑えた
その隙に走って逃げることに成功した


(あーアレは……ねェ?トールちん)

(……あぁ、恐らく、そうだろうな)

(でも、多分、俺のが先に負けちゃってるんだけどねぇ。あー頭、痛いわ)

[ 20/68 ]

[*prev] [next#]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -