ヘイル!ホーリー!ゴッド!
「麗菜ちゃん!」
「……ん……るさい……」
なんだか俺を呼ぶ声がして毎度のように寝起きの不機嫌のまま目を擦り開けると、そこには何故か葡萄頭がいた
(ディ……ディなんだっけ)
「昨日からずっとここにいたの?」
「……ん。そう。眠い。どいて」
「もう授業始まっちゃうよ〜?」
「寝る」
「こんなとこで寝ちゃダメだって」
「もう、うるさい……しーっ」
「……!」
昨日なんだかんだ徹夜だったせいか、異常に眠い。
楽譜だけは手に持ってはいるけど、首がカクンカクンしてるのは自分でもわかる
また眠りこけようとしたときだった
「ディディー!レナレナはいたかい?いたのかい?」
「!あ、あぁ、いたよ〜」
「姉ちゃん!何してんだよ!おい!起きろ寝んな!」
アポロンの声と冷慈の声がして、おまけになんかゲシゲシっと蹴られて、痛みに嫌々目を覚醒させられた
弟殺す。
「……おはよう……」
そこにはもうクラスメイトどもが集まっていて全員で探してくれていたようだ
あぁ美しいね。まったく美しい友情だぜ
「もーチョー探したんですケドォ」
「おうー、そらすまないねぇ。ばあちゃんも気づいたら施錠されてて出れなかったのさー」
「……それで帰ってこれなかったのか」
トールさんの言葉にうんうんと頷けば冷慈にげんこつをくらった
痛いぜ弟
あぁあっと頭を抑えて呻いていると、葡萄頭が落ちた楽譜を拾い上げていた
「……もしかしてさ、ずっと探してたの?」
「だって、誰も決めないじゃん。神様連中はまず合唱ってのから微妙だろうしね。俺がやんなきゃ誰もしねぇじゃん」
バッとそれを奪い返してクラスメイトも置いて音楽室から出る
これ、人数分コピーしてもらわなきゃじゃん
あと、もう色々だなぁアカペラってウチのクラスだけだったりして。
いやまぁ、そっちのほうがいいかもしんないけど
異色だろうなぁきっと
「柊せんせー。これ人数分コピーしてくださいなー」
「……お前が先生って言うと違和感しかねぇぞ」
「じゃあおっさん」
「まぁそら俺はおっさんだが……。ほれ、それよこせ」
「うえーい、ありがとう!」
コピーをしてもらって、教室へ戻る。ひとまずはこの歌を聴いてもらうところからはじめないと知らない歌はいきなり歌えない
神様は歌えるのかもしんないけども!
「たでーまー」
「あ、おかえりなさい」
「うむ」
「それじゃー練習しますよーお前等ー俺の話をー聞けぇえええ!!!!!」
(あぁ、先頭に立つのって、やっぱりイライラする)
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