向上心

「歌唱部……ですか?」

「そう!一人でもそれなら問題ナッシング!」


次の日の朝から俺は結衣ちゃんに、やっと決めた部活のことを話していた
合唱部だと一人じゃできないのは確実だけど、歌唱は一人でもいい。


「なるほど……わかりました。大丈夫ですよ」

「ありがとー!」


これで、心置きなく生活ができますな。俺ではなく結衣ちゃんが


「よ、妖精さん!!決まった!決まったよ!!」


途端に教室へ目を輝かせてアポロンが走りこんできた。
一体どうしたというのか


「ア、アポロンさん……」

「次、次の行事はブンカサイ!ブンカサイにしようと思うんだ!!」

「文化、祭……ですか?」


どうやら俺たち4人が来る前に体育祭という行事は終わらせていたらしく、今度は文化祭をしようという決断がでたようだ
ちなみに結衣ちゃんは、剣道部と生徒会を両方している忙しい子であるよ


「そう!ステージを使って発表をするんだ!クラス対抗!合唱コンクールだよ!」

「!!それは、いいかもしれません!」


アポロンのその言葉に結衣ちゃんは一目散に俺を見た
いや正確に言えば、チラッと見た。そうだいわゆる、巷でいうところのチラ見だ
いや、私は歌唱部ですよー。合唱じゃないですー!


「麗菜さん!」

「へい!!」

「私たちに合唱を教えてください!」

「だが断わる!!!全力で!!」


結衣ちゃんと俺の割りとデカイ声量での会話にクラスメイトがこっちを見ていた
いやはや、照れますな


「せっかくですし、ディオニュソスさんがとても素敵だったって言ってましたし、教えてください!」

「だから断わる!」

「冷慈さん!お姉さんを説得してください!」

「は!?俺!?」


結衣ちゃんに頼まれて、断われない弟が、嫌そうな表情のまま、俺の元へと来る
そんなーそんなー。おばちゃんやだよう


「姉ちゃん……」

「パス」

「してやれよ」

「セクハラさしてくれる?」

「いや、やっぱしなくていいっす」

「うえーい!俺の勝ちー!」


冷慈を華麗に回避して、俺はルンルルンと教室から出て行こうとした


……途端に、誰かにぶつかったわけだが


「あだ!!」

「おい、麗菜。雷、落とすぞ」

「ひ、ひひひひ柊さん!あれーなんだかとても教えたくなってきたぞーえっへへー!」



(叔父さんの威圧にはどう頑張っても勝てそうにない)


[ 16/68 ]

[*prev] [next#]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -