変人理論
「こんなのもあんだぜ!」
ルアが携帯からリメレの音楽を流す。あ、そうか。携帯があった。でも充電器はないし、圏外だし、あまり役にはたたないことは明確だった
流れている音楽を聴いて、自然と場所も忘れて無意識に体が動く。フリなら任せろ
大体覚えました。
「ふっふふふ」
「……。楽しそうだね、麗菜ちゃん」
「うん、楽しいからな!」
葡萄頭に声をかけられて、ついいつもルア達に言うノリでそう言った
また、驚いたように俺を見る葡萄頭のことは眼中には入っておらず、背後で流れている音楽だけでニコニコとしている
そう、それは俺の溜めに溜めていたストレスを消す魔法のようなもの
「あー、帰りたいーあー!せめてCDとかDVDとかあればよかったのに」
「ほんとだな……肌身離さず持ち歩いておくべきだったな」
あのアーティストにあったから俺が生きていると言っても過言ではないというのに
まるで酸素が無いのと一緒だ
酸素もない状態で1年間生きれるか?否!!
「そうだ、購買へ行こう!!」
「い、いきなり、いきなりだね!」
「さぁさぁ!アポロンくんよ!お姉さんを購買まで案内してくれたもえ」
すぐ近くにいた金髪な陽気なアポロンをまき沿いにして、購買へと行く
取り寄せてもらおう、そうしよう
「まぁまぁ、それだったらオレが案内してあげるよ〜」
「お、チャラ・チャラ男じゃないか。ありがとう!お礼は何がいいかな!?」
「ん〜そうだねぇ……って、購買に案内するぐらいでお礼いらないって。むしろちょっとしたデートみたいだしこっちがお礼言おうか?」
「……うわぁ……まじチャラ男だわ」
わざとどん引いたフリをして、サッと距離を開ければ葡萄頭はハイハイと言わんばかりに笑っている
なんだ、変な奴だなぁ
俺に言われたら終わりだぜあんちゃんよ
「ねぇ、あんでさ、そんなに俺に話しかけてくるわけ?」
ふと疑問に思って横を歩いているそいつに質問を投げつけた
問いかけた、ではない。投げつけたのだ
「……なんで、って言われてもねぇ……気になったから、かなぁ」
「あぁまぁ一般人じゃないオーラは出てるからかね」
「え、何それ」
「え、俺が一般人に見えるの?」
いつもネジがぶっ飛んでるとか、思考がおかしいとか言われる俺からしたら、これで一般人に見えたなんて言われたら本当に、こいつの目を疑うぞ
俺は自他共に認める変人だからな
つうかだいたい、ネジがぶっ飛んでるんじゃなくて、設計上1本足りてないだけだよ
「まぁ確かに一般人というよりは、なんかズレてそうだけどね」
「だろ。それね、褒め言葉だから」
「……やっぱズレてるわ」
「何を言うか!よく考えてみ!」
これでもか!というぐらいに人差し指を奴の鼻頭につけ、俺の理論をまるで、それが正論であるかのように、言葉に出す
「変人ってことは変わってるってことだろ?変わってるってことは、人と違うっていうこと。それを人目を気にせずに貫けるって言うのは、強いってことでしょーよ!」
今時の軽い奴等みたいに、上辺だけの付き合いをして、裏では陰口を叩き合っていたり
はたまたは、表上ではブスを持ち上げて、いい気にさせて仲良くしているフリをしておいて、自分の引き立て役に使わせたり
嫌われないために無理矢理、グループの雰囲気に合わせて自分を殺してしまうよりもずっとずっといい
大事なのは他人ではなくて、自分がどうあるか。
「俺はイチイチ他人に合わせて、個性が無いようなグズよりも、自分自身を大事にしてる奴のほうがずっとかっこよくて好きだね!」
(自己否定ではない、自己肯定ができる強さが人間には足りていない)
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