大事件だ!

一目散に講堂に行けば目当ての人間が揃っていたので、驚いているそいつらに遠慮なく叫んでやった


「も、もうすぐリメレの新曲公開ああああ!!!」

「「「「「あー!!!」」」」」


途端に全員の叫び声も聞こえていた
なんともうるさい連中だと思ったらそれはそれで構わない
俺達にとっての死活問題なんです
潤い、ハリ、ツヤ全てを与えてくれます。
おわかりかな?美容液のようなものである



「あれだろ!私は私しか信じないって!」

「それだ!!」

「うぎゃあ!帰るー!」

「俺もー!」

みづとルアと絶叫をあげる。
宋壬を覗く弟3人も動揺をしている。ただ、それだけ騒げば人も集まるわけで……


「何ナニ〜?追っかけてみたけど、なんか面白そうなほど慌ててるねェ」

「……大丈夫か?」

「いきなり走り出すからビックリしたよ〜。どったの?」


教室にいた3人だけじゃなくて、他にもグラウンドにいたであろう、というかクラスメイトが騒ぎを聞きつけてきていた
どうもしてねぇわ、ボケ。でも大事件じゃ。ボケ


「…………あ、でもさ、姉ちゃん」

「なんだね、我が弟よ」

「コレ、全部最初に戻してもらえるらしい。だから間にあうんじゃ……」

「しかしだな、よく考えろ。これから一年間聞けない見れないんだぞ?あの俺達の神様が!!!!」


ギャーギャーと言っていれば、クラスメイトが不思議そうな驚いたような顔をしている
すまん、置いてけぼりにして
だが、今は君たちどころではー……


「ところで、何の話をしているのかな?そんなに大事なことなのかな?」

「「「「「「当然だろ!!」」」」」」


バルドルの問いに6人でクワッと牙を向ける。そんなにとか言うな。俺達にしたら一大事だぞ、えぇ?

俺にいたっては精神の問題もかかってきている。そんな大事なこと今更思い出すなんて。


いわゆる、依存症。それも重度の。
まぁここまで重症になっているのは俺だけだけど

……今思えば仕方ないのかもしれない。俺にとってリメレは精神安定剤と同じだったから


「アレでしょ〜?さっき言ってたリメレ……とかいうやつ〜」

「草薙さんはリメレって知ってる?」

「……え、えっと、知ってはいます……」

「??」

「なんというか……私の周りの人は興味がないというか……そんな感じだったので」


葡萄頭に聞かれて、結衣ちゃんがそう答えている。まぁ、そうだろう。このご時世に、まるで"昭和のヤンキー"のスタイルで歌っているんだから
好き嫌いは別れるところだ。ただ、それを見もせずに否定する奴は明日がこないぞ。え?


「へぇ〜。ちょっと興味あるなぁ〜。トールさんもでしょ?」

「……そうだな。……あまりにもあいつ等が必死そうだしな」


葡萄頭とトールって人のその言葉を聞いて、俺とルア、みづがアイコンタクトをとる



(神様にも教えてあげよう。最高のエンターティナーアーティストを)


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