不良とちげぇよ。

「あー……疲れた……ったく日本神話のなんの神様かいっちょん知らんけど、なんねあいつ……」


恒例の鬼ごっこも終わって、俺は一人で教室まで歩いていく。草薙がうるさいから。
行ってやらねば。と首を鳴らしながら廊下を歩く。
向かいから、宋壬とチビが歩いてきているのを見つけた。おい、どこに行く。
もう授業だろうが。


「おい、お前等」

「あ、冷慈」

「っ!なんだ不良め!さては我の首を狩りに……返り討ちにしてくれるぞ!宋壬が!」

「え……」


どうやら俺は不良という認識をされているようだ。かまわんけど、なんちゅうか、ほんとちっこいな。
夜になると歳相応へとなるらしいが、それなんて心霊現象。怖い怖い。


「つーか、宋壬ば、こげんとこでなんしよんかちゃ。さっさ授業ば受けんね」

「……それは冷慈も」

「……俺は今から行くけん」

「……俺、保健室」

「さ せ ん ぞ」


宋壬はいつの間にやら、そのチビと月人と仲良くなったようで、たいていは一緒にいるtころを見かける。
相変わらず、宋壬のマイペースさが目に余るほど見えているが。

逃げようとしたであろう奴の首根っこを引っつかめば、下から睨まれた。


「……あのなぁ、チビ。お勉強せんな、お勉強」

「チビじゃない!夜になったら……!」

「へいへい。ほら、行くぞ」

「宋壬を離せ!」

「はい、行きますよー」


ズルズルと宋壬を引きずれば、セットで後ろをついてくる。
名前、なんだっけ。この子と記憶を引きずりだしてみるも、他人に興味のない俺はそういえば自己紹介のときに寝てた気がする。
いや、チビ、いたっけか?宋壬同様の引きこもりだったような、どうだっけ。


「あれ……冷慈、そういえば今日一人?」

「あ?」

「いつも、あの……狐の人か、冷慈に似てる人といる」


尊か。あいつはよくわからん。空手をしてる黒帯だと言ったら懐かれたのだ。
確かに悪い気はしないし、よく一緒にはいるけれど。

それに反して狐面のおニイさんはもはや俺の敵である。
心読めるとか何それハイスペック。

そう思うのと同時に、その能力がほしいと思った。


(だって、人間笑顔貼り付けてても本心は見えないだろ?)

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